津軽西北地域「大規模スマート農業」実演会を開催(青森県中泊町)
2020年10月27日
10月13日(火)、津軽西北地域スマート農業技術・開発実証コンソーシアムの実証経営体である(株)十三湖ファームの実証農場(青森県中泊町)で、「同一圃場内でロボットトラクタと有人トラクタによる協調作業」の実演会が開催された。当日は、やや風が強いものの天候に恵まれ、新型コロナウイルス感染症対策のため、マスク着用のほか、アルコール消毒など徹底した対策が講じられる中、コンソーシアム関係者を中心に、地元の担い手農家、市町村、農協、土地改良区、青森県庁等の関係者ら約80名が参加し、盛大に開催された。
左 :当日は約80名が参加し、実証調査への関心の高さがうかがえた
右 :津軽西北地域は、やませの影響を受ける中、冷害を克服し生産性の高い稲作経営が行われている
実演会では、青森県西北地域県民局地域農林水産部農業普及振興室稲作・畑作班の木村孝昭総括主幹による進行のもと、神俊成農林水産部長が実演会の概要を紹介するとともに「実演会が参考となり、技術の普及につながることを期待したい」と開催の挨拶を述べた。
進行役を務める木村総括主幹(左)と、開会の挨拶を行う神部長(右)
(株)十三湖ファームでは、6人のオペレーターで150haに及ぶ圃場を管理しており、2台のトラクタを1人のオペレーターが操作することで「作業効率の向上に対する期待は大きい」と語る平山智久代表取締役。
圃場前に設置された実証概要を紹介する看板(左)と平山代表取締役(右)
続いて、青森県西北地域県民局地域農林水産部農業普及振興室稲作・畑作班の成田智昭総括主幹専門員がこれまでの実証調査の概要を説明した。
さらに、クボタアグリサービス株式会社担い手推進部の佐藤春一課長補佐が、実演を行うロボットトラクタなど農機の特徴を説明した。
左 :成田総括主幹専門員 / 右 :佐藤課長補佐(向かって左側)
実演会では、1.2haの同一圃場内(長辺192.0m、短辺61.6m)で、自動運転ロボットトラクタ((株)クボタMR1000A、100馬力)と有人トラクタ((株)クボタMR97、97馬力、直進ガイダンス付き)による耕起作業を実施。リモコンとタブレットで遠隔操作するロボットトラクタを先行させ、有人トラクタが監視しながら、協調運転による間接耕耘を行った。
(株)クボタMR1000A、100馬力(左)と(株)クボタMR97、97馬力(右)
リモコンを操作して、自動運転開始。なお、リモコンの通信距離は150m
2台ともロータリー幅は2.6m。間接幅は2.3m。時速は3kmに設定
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左 :最後に枕地(4周分)を作業。障害物などを回避し、確実に旋回できるよう内側1周分をロボットトラクタが行い、外周3周分のうち2周分は、ロボットトラクタにオペレータが乗って操作し、最外周1周は、翌春の畦ぬり作業用に残して作業終了とした
右 :作業後の質疑応答
作業後の質疑応答では、早速今回の作業に要した時間について質問が寄せられ、速報値で78分と回答された。
GPS及びRTK基地局による高い作業精度と、単純に考えて1人のオペレーターで2倍の作業効率は目を見張るものがあった。
作業時間削減による省力化など、改めて実証調査の成果報告を期待したい。
*津軽西北地域スマート農業実証コンソーシアム構成員
生産者 :(株)十三湖ファーム
代表機関 :(地独)青森県産業技術センター 農林総合研究所
共同実証機関:(株)みちのくクボタ、クボタアグリサービス(株)、十三湖土地改良区、(一社)全国農業改良普及支援協会
実証管理運営機関:(一社)食品需給研究センター
※本実証課題は、農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト(課題番号:大B03、課題名:冷害を回避し多収を実現する大規模水田作スマート農業の実証(津軽西北地域)、事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)」の支援により実施された。
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