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「アンドファームスマート農業実証コンソーシアム」設計検討会の開催(岩手県盛岡市)

2020年03月31日

 令和2年度3月9日、岩手県盛岡地域交流センターマリオスにて、スマート農業技術の開発・実証プロジェクトの推進会議が開催された。
 昨年末に令和元年度の実績報告が行われ、今回はその成績を基に、最終年度にあたる2年目をどのように取り組んでいくか、下記項目について検討した。


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関係者による設計検討が行われた


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実証の全体像を説明する八幡平農業改良普及センターの千田主査農業普及員


1.基盤・基礎技術
(1)肥料等高精度散布技術(キャベツ)
 自動操舵補助システム+ワイドスプレッターでの作業は、慣行のブロードキャスタより作業時間の削減が図れ、散布ムラも極めて少なく均一散布が実現できた。また生育ムラも見られなかった。
 このことから次年度は、現地適応性および実用性の評価を行う。

(2)耕起作業の高精度化技術(キャベツ)
 非熟練者の自動操舵補助システムでの耕起作業は、熟練者の手動作業と比べ、作業時間は同等で、作業精度は前者の方が高かった。また、自動操舵補助システムにより作業の肉体的負担も軽減された。
 次年度は、耕起作業における自動操舵補助システムの現地適応性および実用性の評価を行う。

(3)リモートセンシングによる生育モニタリング実証(キャベツ、ダイコン) 
 マルチロータおよび衛星からのモニタリングにより、生育状況の把握、追肥の有無を検討し、生育斉一化および単収向上を図った。解析時間などの課題はあるが、根部重の予測ができる可能性も示唆された。次年度はオルソ画像区(※)、一枚撮り区を設け、複数の作型でモニタリング調査を行う。さらに、出荷箱数の予測も行う。
 オルソ画像は、写真上の像の位置ズレをなくし空中写真を地図と同じく、真上から見たような傾きのない、正しい大きさと位置に表示される画像に変換したもの。これにより傾斜地でも正確なモニタリングが可能となる

(4)病害虫防除作業の効率化
 自動操舵補助システムによるブームスプレイヤーを利用した防除作業は時間短縮とはならなかったものの、防除作業のみに集中でき、疲労軽減につながった。マルチロータ防除についても疲労軽減および作業時間短縮の結果となった。ほ場条件により向き不向きもあるため、次年度は実用性の確認と利用条件・方法について確認を行う。


2.キャベツ栽培におけるスマート農業技術
(1)畦立て・施肥作業の高精度化技術
 自動操舵補助システムと高速・高精度畝立同時二段局所施肥機の利用により、畝立施肥作業時間の削減および単収向上の目標は達成された。生育斉一化の差は見られなかったため、次年度も引き続き継続調査を行う。また、複数作型での試験や現地栽植様式にあわせた試験も行うこととなった。

(2)中耕・除草作業高精度化技術
 自動操舵補助システムを活用することで、残草率が減少し、栽培株の損傷も大幅に減少した。生育斉一化および単収向上となり、作業能率も向上した。引き続き同様の調査を行い、現地適応性、実用性を確認する。また、ダイコンでも同様の調査を行う。


3.ナガイモ栽培でのスマート農業技術
 自動操舵補助システムを利用した溝掘作業により、作業能率は慣行同等であったが、直進走行性の向上における、損傷株の減少、単収の向上が図れた。
引き続き高品質・高収量について調査を行うと共に、オペレーターの軽労化について検討する。


4.軽労化技術の評価
 アシストスーツによる時間・能率の差異は見られなかったが、疲労度軽減の評価は得られた。次年度は暑さ対策や肩への負担軽減などの改善を行い、改善効果を調査するとともに、アシストスーツを利用した作業体系の検討などを行う。


5.経営管理高度化技術(営農支援システムの運用実証)
 今年度KSASから得られたデータを基に、一貫体系を想定した農業技術体系データを作成し、慣行体系と比較。その効果等を検証する。


※ コンソーシアム構成機関
代表機関  :岩手県農林水産部
生産者   :株式会社アンドファーム
共同実証機関:株式会社みちのくクボタ、一般財法人リモートセンシング技術センター、株式会社スカイマティクス、株式会社サステクノ、(一社)全国農業改良普及支援協会、全国農業協同組合連合会岩手県本部、新岩手農業協同組合、岩手町


※本実証課題は、農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト(課題番号:露B02、課題名:中山間地域の土地利用型野菜輪作体系における省力性・生産性向上に向けたスマート農業技術一貫体系の実証」(事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)の支援により実施しています。


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