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第3回神崎町スマート農業実証プロジェクト研究会推進会議の開催

2020年01月10日

~千葉県香取地域における大規模水田輪作体系のスマート農業実証~


 12月19日、千葉県神崎町において「第3回神崎町スマート農業実証プロジェクト研究会推進会議」が開催された。
 はじめに(農)神崎東部圃場で現地検討会が行われ、有人・無人自動運転トラクタの協調作業(耕起)のデモンストレーションがあった。


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現地検討会(有人・無人自動運転トラクタの協調作業)  benri_movie1.jpg(クリックで動画再生)


 現地検討会後には、神崎町役場会議室において、成績検討会が開催された。
 はじめに神崎町椿等町長、(農)神崎東部大原弘宣代表理事から挨拶があり、台風をはじめ多くの壁を乗り越えた今年の成果等を振り返った。
 (農)神崎東部の石橋一博理事からは、スライドによる実証報告があった。


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●成果報告
 進行役の千葉県香取農業事務所の堀田隼人普及指導員と荒木田伸子グループリーダーから、各実証項目(8項目)について成果が報告された。


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1.自動運転トラクターの技術体系の確立
 小麦播種前に試験的に1圃場に無人・有人トラクターによる協調作業を実施し、能率が向上することを確認。無人・有人トラクターの別圃場(面積が異なるほ場)での作業では、効率が低下。二番穂による障害物センサー反応による停止、無人機の隣接圃場への移動による効率の低下等が見られた。


2.GPS連動直線キープ田植機による労働力削減効果の実証
 高密度播種苗との組合せで、移植の作業効率向上を確認した。次年度は収量メッシュマップデータをもとに、可変施肥を実施する。


3.オートステア装置の実証
 大豆の施肥播種、小麦播種作業で実施。調整に時間を要したが、播種精度は慣行と同等。オペレーターからは、ハンドル操作が不要のため、直進作業負担減を確認できた。


4.遠隔水管理システムの実証
 6月下旬からの導入のため、次年度で実証を確認。設置圃場では、スマートフォン上で実施できること、むだなかけ流しを防げることを確認した。水位センサー不具合については次年度改善。


5.農業用ドローンによる農薬散布の実証
 適期防除に対応できたため、玄米一等比率が向上。既存防除体系と比べ、経費削減効果が大きかった。次年度は、生育に対応した追肥作業へ活用を検討し、小麦の防除でも実施する。


6.食味・収量メッシュマップコンバインの実証
 メッシュマップデータにより圃場生育ムラの確認ができた。次作で収量底上げ活用を検討する。
 次年度の施肥設計、作付計画への活用を検討。農業用ドローンを活用した部分追肥も検討する。


7.汎用コンバインの実証
 11月導入のため、次年度で実証を予定。


8.KSAS乾燥システムの実証
 乾燥機、収穫コンテナ、KSAS乾燥システムの連携により、収穫、乾燥調整作業が軽減されたことを確認。


●経営分析とデータの活用について
 各実証圃場ごとにデータ分析を報告した。(水稲・移植栽培圃場、水稲・鉄コーテイング直播圃場、水稲・乾田直播圃場、水稲・稲WCS圃場、小麦・大豆圃場等)

 結果、コストを下げて収量を上げるため、多収品種の面積拡大、春作業分散のため直播栽培の面積拡大が提案された。
 提案の中では、農研機構が開発した新品種「にじのきらめき」が検討された。
 また、質疑では増収の重要性から、今回のスマート技術のデータを活かした農業用ドローンによる追肥について提案されたが、現段階では対応が難しいとの回答があった。

 最後に、農研機構の高橋茂専門PO(プログラムオフィサー)から、「コスト低減に向けた取り組みを評価し、次年度の課題を明確にして実証を」との講評があった。
 次年度の取り組みについては、神崎町役場の石橋正彦係長から実証計画が提案された。


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※本実証課題は、農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト(課題番号:大C07、課題名:千葉県香取地域における大規模水田輪作体系のスマート農業実証、事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)」の支援により実施された。