【クボタeプロジェクトレポート】愛媛と高知の県境で、耕作放棄地の飼料作物栽培への取り組み(愛媛県愛南町)
2008年10月28日
愛媛県と高知県の県境にある篠南(ささな)地区(愛南町正木地区・宿毛市山北地区の総称)は、日本一長い校名の「高知県宿毛市愛媛県南宇和郡愛南町篠山小中学校組合立篠山小(中)学校」があることで有名なところだ。
この地区では、昔から、日常生活上の必要からも、県境を超えての(県境を意識しない)交流が続いてきた。農業でも両地区が協力した活動を行っていて、中山間地の冷涼な気候条件の下、霊峰篠山(標高1,065m)を源流とする篠川の清流を利用して、稲作中心の農業経営が行われている。
しかし、近年は農業者の高齢・兼業化と、鳥獣被害の増加から、耕作放棄地が増加し、愛南町正木地区では、経営耕地面積39.5haのうち13.9haが耕作放棄地となっている。耕作放棄地率は、26%もの高い値だ。
そこで、愛南町正木地区の認定農業者と宿毛市山北地区の農作業受託組織「篠南集落営農組合」で構成する「正木地区集落営農研究会」が、耕作放棄地解消に取り組もうと、話し合いを重ねてきた。
今回、クボタeプロジェクトによって、3haのうち、1.5haを耕耘・整地して、飼料作物を栽培することになった。対象地は、愛南町正木地区の開墾地(通称「猿ヶ駄馬(さんだば)」)で、昭和40年頃に山を開墾し、水田として利用していたものの、篠川の水を揚げるポンプが故障したあと、15年ほど耕作放棄の状態が続いていた。
復元作業は9月20日から始まった。
4日間(9月20日~23日)かけて、フレールモアによる雑草刈りと、ボトムプラウによる深耕の作業を、地元農家や(株)クボタ関連会社のオペレータ等10名が行った。
9月29日と10月3、4日は、整地・耕耘した後、施肥機による施肥が行われた。
左:第1回荒起こし(手前:フレームモアによる雑草刈り) /右:ボトムプラウによる荒起こしの状況
10月22日には、1.5haに飼料作物イタリアンライグラスの種子60kgが播種された。来年5月頃に収穫される予定になっている。
一方、隣接の宿毛市山北地区では、加工用わさびの栽培を予定していて、定植は11月中旬頃になる。
左:整備された圃場に地元幼稚園児が遠足に /右:整備された圃場全景(遠景は篠山)
篠南集落営農組合長の田中耕二氏は、「今回の取り組みをきっかけに、篠南地区の耕作放棄地が少しずつ解消されて、地域振興作物を栽培することで、地域の活性化につなげていきたい」と、期待を語ってくれた。