【クボタeプロジェクトレポート】特定法人貸付事業を活用した耕作放棄地の解消・活用(鹿児島県阿久根市)
2008年10月21日
「完璧な再生作業をしていただいた。来春からの利用予定を変更、急きょ今秋から植付けすることとなった。素晴らしい畑に再生していただき、感謝している」(株式会社枦(はし)産業 枦壽一社長 )
写真 左:株式会社枦産業(鹿児島県阿久根市) / 右:枦壽一社長
株式会社枦産業は、ブドウ糖の原料となる「でんぷん」製造を主におこなっている企業。かつては県内に11のでんぷん工場があったが、現在は長島町の一工場のみ。
焼酎ブームのあおりを受け、6年ほど前からでんぷん原料のさつまいもが値上がりし、80%程度しか原料が確保できなくなった。一時は工場閉鎖の状況にまで追い込まれた。
そんな中、原料確保のために、阿久根市の特区制度(※)を利用し、自分たちの手でさつまいもを作ることにした(阿久根市における、法人の農業参入第1号となった)。
しかし、何年も放っておかれた遊休農地は、再生するのに非常に手間と費用がかかる。手持ちの建機などを使用して作業をおこなっていたが、10aの畑を再生するのに1か月以上かかることもあったという。
遊休農地利用をはじめて4年目にあたる今年、新聞で「クボタeプロジェクト」のことを知った。「だめでもともとと思い応募した。まさか選んでもらえるとは思ってもみなかった」
今回再生対象となった農地は、セイタカアワダチソウや小竹でびっしり覆われた圃場。トラクタ3台で雑草を刈り、建機で雑木や竹を除去し、プラウで耕起、ロータリーで整地をおこなった。
トラクタのタイヤには竹が刺さり、ロータリーは爪が折れた。大小の石も多く、竹の根拾いや石拾いなどもあり、作業は困難を極めたが、40aの再生に、延べ15人で2日半かけて、ほぼ完了。想像以上のきれいな仕上がりに、急きょバレイショの植え付けを決め、3日目には堆肥を持ち込んだ。作業の速さと仕上がりには驚いたという。
写真 左:きれいに再生された圃場 / 右:植え付けを待つバレイショ
「阿久根市は後継者不足などで遊休農地が多いところ。遊休農地の活用については、当初は「大丈夫なのか」という声も出たが、毎年少しずつ収量があがっており、まだまだ伸びる可能性がある。今年の作付面積は37haだが、来年は60ha、再来年は70haを目標に、どんどん拡大していきたい」(枦壽一社長)
担当した南九州クボタ藤原清社長は、「今回のことで集落が元気になってくれれば。また、これが耕作放棄地再生に対する意識の高まりの手助けになればうれしい。今後も、継続して作物をつくっていただける、熱意のある方を支援していきたい」と語った。(みんなの農業広場事務局)
(※)
「アクネうまいネ自然だネ特区」 (参考URL)
農地の遊休化、荒廃化が急増しているところであるが、建設業界等を農業経営に参入させるとともに、地場産業と連携した安心・安全な農産物の生産を通して地域住民の健康増進と福祉の向上を図り、さらには阿久根市が持つ豊富な自然資源を有効活用した体験型観光による都市住民との交流を促進することにより、活力ある農村地域の再生を目指す。