提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


大粒で食味の良いイチゴ新品種「千葉S4号(チーバベリーⓇ)」

2021年05月14日

千葉県のイチゴ生産と「千葉S4号(チーバベリー)」
 千葉県におけるイチゴは、全国トップ10に入る70億円の産出額であり、栽培面積は222ha(平成30年度)でイチゴ狩りができる施設が県内に約100か所あります。「チーバベリー」(図1)の愛称で平成28年にデビューした「千葉S4号」(写真1)は、このような観光・直売向け品種として育成されました。
 大粒で良食味の県オリジナル品種であり、生産者が防除に最も苦労している、うどんこ病にも強いため、栽培に取り組む生産者も年々増加しています。


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図1 「チーバベリー」のロゴマーク
 

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写真1 「千葉S4号」


育成経過
 「みつる」と「章姫」の交配実生から選抜された大果かつ多収系統の「96-15」と、うどんこ病抵抗性をもつ「栃の峰」を交配し、得られた系統を自殖、選抜しうどんこ病抵抗性をもつ「02-19」を育成しました。さらに「02-19」と良食味な「とちおとめ」を交配し、得られた実生苗から大粒で良食味に加え、うどんこ病抵抗性を兼ね備えた「千葉S4号」を選抜しました(図2)


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図2 「千葉S4号」の育成図


品種特性
●草高は「とちおとめ」及び千葉県育成の「ふさの香」より高く、これらに比べて生育が旺盛で低夜温での管理が可能です。
●うどんこ病には「ふさの香」と同程度で「とちおとめ」より強い抵抗性を持っています(表1)
●開花は11月中旬、収穫開始期は12月下旬で「とちおとめ」や「ふさの香」よりやや遅くなります。
●総収量は「とちおとめ」と同程度ですが、2月及び3月の収量は「とちおとめ」を上回り、3月以降の観光・直売の需要に対応できます。
●「とちおとめ」や「ふさの香」より20g以上の果実の割合が多く、平均1果重は約22g/果です(表2)
●果実は縦長できれいな円錐形で、果皮色は「とちおとめ」より濃い濃赤色、果肉の色は橙赤色です。空洞果はほとんど発生しません(写真2)
●果肉はジューシーで甘さとともに適度な酸味があり、食味は良好です。

表1 うどんこ病の発病果率
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表2 総収量と平均1果重
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写真2「千葉S4号」断面


栽培上の注意点
●大粒の果実にするためには、充実した苗を作ることが重要です。7月下旬までに鉢受けし、クラウン径が9mm以上の苗を作ります。定植時期は「とちおとめ」よりやや遅い9月25日頃になります。
●元肥窒素量が多いと株が大きくなりチップバーンが発生しやすくなります。本圃での基肥窒素量は12kg/10a以下に抑え、追肥主体の管理とします。


千葉県のWebページ栽培マニュアルが公開されています。なお、栽培は千葉県内に限定されています(令和3年4月現在)。


執筆者
千葉県農林総合研究センター
野菜研究室
庄山拓磨