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早生で極めて糖度の高い赤ナシ新品種「玉水」

2020年05月19日

育成の背景
 福岡県のナシ主力品種は、赤ナシの「幸水」で出荷ピークは8月上旬です。しかし近年の温暖化により関東産「幸水」の出荷時期が前進化し、本県産と市場で競合するようになり、価格の低迷を引き起こすようになりました。
 そこで、露地で7月下旬から収穫できる高品質な赤ナシ品種「玉水(ぎょくすい)」を育成しました。


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「玉水」の結実状況


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「玉水」の果実外観および断面


育成の経過
 「玉水」は、福岡県農林業総合試験場が平成21年に早生ナシである種子親「あけみず」と花粉親「喜水」を交配して得られた交雑実生から育成し、平成31年4月に品種登録出願公表されました。


品種特性
 開花盛期は4月上旬で、「幸水」より3日程度早いです。樹勢は中で「幸水」と同程度で、花芽の着生は長果枝で「幸水」と同程度、短果枝では「幸水」よりも多い傾向にあります。黒斑病抵抗性であり、黒星病の罹病性は「幸水」並みです。収穫期は7月下旬から8月上旬で、収穫始期はジベレリンペースト処理した「幸水」より5日程度早いです。
 果実の果皮色は赤褐色で、果実の形がよく、揃いも優れます。糖度は平均15度と「幸水」より2度程度高く食味良好です。果実重はジベレリンペースト処理した「幸水」よりやや軽いです。


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研究成果の活用
 苗木は福岡県内の農業者に限定して販売し、果実は令和4年頃、初出荷の見込みです。


執筆者
福岡県農林業総合試験場
果樹部 果樹栽培チーム
瀬戸山安由美