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服部越瓜(はっとりしろうり) -江戸時代から受け継がれてきた「なにわの伝統野菜」

2019年05月23日

特徴と由来

●大阪府高槻市塚脇地区

 「服部越瓜」は高槻市塚脇地区周辺(旧服部村)で栽培され、播種は4月20日頃、7月初旬から8月末まで出荷されます。果実は薄緑色で淡い白縞があり、頂部が細くくびれているのが特徴で、長さ約30~40cm、重さ約700~800gに生長し、食べると爽やかな歯ごたえがあり、シャキシャキとした食感が人気です。
 採れたての「服部越瓜」が地元の朝市で販売されるほか、酒どころとして知られる同市富田(とんだ)地区の酒粕を使った粕漬けなどに加工されます。
 江戸時代には、徳川家康がこの地を通った際に食し、その味を賞賛して幕府献上品となり、その名は全国に知れ渡りました。天保14年(1843年)の服部村明細帳には、「服部越瓜」は「富田で造られる粕漬けに専ら使用される」と記載されています。
 平成17年度からは、100年以上前から栽培されてきた大阪独自の品種として「なにわの伝統野菜」に認証されています。

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収穫適期の「服部越瓜」

産地の動向

 「服部越瓜」は、地域の農家で組織される「服部越瓜生産部会」が主体となり、栽培が行われています。近年、生産者の高齢化や粕漬け需要の低迷で栽培面積は減少傾向であったため、平成20年度から商工業者と連携を図り需要拡大に取り組みました。その結果、高槻市内の飲食店で「服部越瓜」の料理が提供されるようになりました。また、毎年7月には「服部越瓜品評会」が開催され、生産者の技術研鑽の場となっています。品評会は平成30年度で45回を数え、栽培農家11戸から選りすぐりの「服部越瓜」が出品されました。
 「服部越瓜」は湿害に弱く、雨によって果実に腐りが発生するため、湿害対策が非常に重要です。また、収穫適期が少しでも過ぎると皮が硬くなり、粕漬けに向かなくなります。栽培には繊細な管理が必要ですが、部会では消費者や飲食店からの「おいしい」という声に喜びを感じ、高級品を生産しているという誇りをもって、伝統の味を守り続けています。

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品評会に出品された選りすぐりの「服部越瓜」

利用方法

 例年、7~8月が収穫のピークです。収穫した「服部越瓜」の多くが粕漬けとして使われています。種などを除いて、塩漬けにして水分を取り、酒粕に漬けます。1年を通じておいしく味わえますが、酒粕の風味がしみる10月からが食べごろです。粕漬けを食べる時は、粕を水で洗い流したりせず、軽く手で取り除き食べるとおいしくいただけます。
 平成21年度以降、部会と高槻市商工会議所などが連携してPRイベントや新たなレシピの提案を行い、今では市内の飲食店で、すし、ハンバーガー、ケーキなど多様な料理に使われるようになっています。

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「服部越瓜」の粕漬け

執筆者
山本陽子
大阪府北部農と緑の総合事務所農の普及課 副主査

●月刊「技術と普及」平成30年1月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載