かりもり -かりっとした食感に仕上がる尾張地方の漬瓜
2019年05月22日
特徴と由来
●愛知県尾張地方
「かりもり」は尾張地方に古くから在来する漬物用のシロウリ品種(漬瓜)で、7月から8月に収穫される夏野菜です。果実は俵型、果皮は緑色で果肉は緑色を帯びた白色です。果肉がよくしまり厚いことから、漬物に加工した時のかりっと歯切れのよい食感が特徴です。現在は主に丹羽郡大口町や清須市で生産されており、県で認定する「あいちの伝統野菜」にも選定されています。
来歴は不明ですが、明治末期には現在の名古屋市を中心に栽培されていました。昭和に入り、産地は尾張北西部に広がり、漬物業者との契約栽培が行われるようになりました。
大口町では、昭和40年頃から水田や桑畑を開墾した畑で作付けが始まり、町内のやや粘質な土壌が栽培に適していたことから、盛んに栽培されるようになりました。
収穫期の「かりもり」
利用方法
尾張地方で生産された「かりもり」は、奈良漬けとして最も多く利用されています。奈良漬けを作るには、収穫後、果実を縦半分に切って種を出し、塩をまぶして容器に並べ、重石をして下漬けします。その後粕床に3回漬け替えます。漬け替えの工程で塩分が抜け、最後に仕上げ漬けを行います。夏に収穫した「かりもり」がべっ甲色の奈良漬けとして仕上がるのは、翌年の秋以降です。半割れの奈良漬けは、守口大根(直径2㎝、長さ1m以上になる細長い漬物用のダイコンで、これもこの地方の特産物)やキュウリの奈良漬けと組み合わせ、樽詰めのものは進物用、箱詰めや袋詰めのものは土産用として販売されています。
このほか、浅漬け、しょう油漬け等にしてもおいしく、これらはカリカリとした歯ごたえが楽しめます。
部会役員(右)による新規加入者(左)への栽培指導
恒川歩
愛知県尾張農林水産事務所農業改良普及課 専門員
●月刊「技術と普及」平成30年1月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載