高豆蒄(こうずく)うり -「山形おきたま伝統野菜」、川西の粕漬け文化を代表するウリ
2019年05月20日
特徴と由来
●山形県川西町高豆蒄地区
「高豆蒄うり」は、山形県川西町の高豆蒄地区のみで作られている貴重な伝統野菜です。果実が成熟しても糖を蓄積せず、甘くならないメロン類の変種、シロウリの一種です。
長さ15~25cm程度の俵型で形が良く肉厚です。肉質のしまりも良く、漬物にした時のパリパリとした食感が大きな特徴となっています。
そのルーツをたどると、江戸時代後期の上杉鷹山公の時代にさかのぼるといわれ、産地特産品として、現在の川西町高豆蒄地区に奨励されたのがきっかけとされています。
シロウリの一種「高豆蒄うり」
栽培方法
4月ごろに播種、5月下旬に定植して、収穫は6月下旬~7月下旬まで行われます。現在の栽培面積は約10a、生産量は約1t。生食では出荷されておらず、主に粕漬けなどの漬物として12月から販売されています。
「高豆蒄うり」の苗をほかの土地に持って行って栽培しても、俵型にはならないとのことです。
高豆蒄地区で栽培すると特徴的な俵型になるといわれる
食べ方
川西町には酒蔵が多くあり、古くから各家で自家用に粕漬けを作る習慣があったことから、粕漬けにして食べるのが一般的です。
代表的な粕漬けは、大変手間をかけて作られます。まず、身を半分に切って種子を取り出し、塩分を多めにした古い酒粕に1カ月ほど下漬けをします。その後本漬けを3回ほど繰り返して完成となります。
ほどよく塩分が抜け、酒粕の甘味やうま味が染み込んだ粕漬けは、塩が枯れてべっ甲に輝き、食感・味ともに絶品で、地元の直売所で販売されています。12月から春先までが食べごろとなっています。
パリパリとした食感が人気の粕漬け
協力
山形県置賜総合支庁農業振興課
●月刊「技術と普及」平成30年1月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載