提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


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センキュウ(セリ科)

2018年10月25日

  • (植物学名)Cnidium officinale Makino
  • (生薬名)センキュウ(川芎)
  • (利用部位)根茎

分布、主な産地

 中国原産と推定され、古くから栽培される多年生草本。
 根茎は塊状、茎は直立し高さは30~60cm。葉は互生し2~3回羽状複葉、秋に複散形花序を頂生し、径約6mmの白色小花を多数付けますが、染色体不対合のため結実はしません。

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センキュウ(左)とセンキュウの花(右)

 1600年代(寛永年間)に長崎へ渡来したと考えられています。その後、九州、奈良、東北など各地で栽培されましたが、元来寒冷地を好むため、現在は北海道、東北、関東北部を中心に栽培されています。
 栽培は、秋に株を掘り上げた後、株分けした根茎(種イモ)の芽を上に向けて植え付け、翌年の秋に収穫して行います。
 収穫後、土砂を洗い落として水切りした後、通常、60~80℃の湯または蒸気で10~15分間湯通し処理を行った後乾燥させ、 その後磨きをかけて仕上げます。
 なお、中国では同名の生薬の基原植物としてLigusticum chuanxiong Hort.が規定されていますが、生薬名は同一であっても日本と中国ではその基原植物が異なるため、日本では使用できません。

効用、用途等

 生薬センキュウは第17改正日本薬局方に収載されています。特異なにおいがあり、わずかに苦い味がします。
 補血、強壮、鎮静、鎮痛などの作用があり、婦人薬として、冷え症、皮膚疾患および消炎排膿等に用いられ、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、七物降下湯(しちもつこうかとう)、 芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)、四物湯(しもつとう)など多くの漢方処方に配合される他、医薬品原料または浴湯剤として利用されます。

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提供 :薬用植物総合情報データベース

執筆者
医薬基盤・健康・栄養研究所薬用植物資源研究センター 客員研究員 柴田敏郎

●月刊「技術と普及」平成30年1月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載