カノコソウ(オミナエシ科)
2018年10月22日
- (植物学名)Valeriana fauriei Briquet
- (生薬名)カノコソウ(吉草根)
- (利用部位)根及び根茎
分布、主な産地
中国東北部、朝鮮半島、樺太、南千島、日本(北海道~九州)および台湾に分布し、やや湿った草原に自生する多年生草本。
地下部には短い根茎があり、細長く伸びるストロンを出します。茎は中空で直立し、高さ40~100cm。葉は対生し、5~7個の羽状に深裂します。春から初夏にかけて集散花序を頂生し、淡紅色の小型の花を多数付けます。
カノコソウ(ホッカイキッソウ)(左)と、カノコソウ(ホッカイキッソウ)の花(右 提供:飯田修)
繁殖は種子でも可能ですが、株分けが一般的です。大きな芽を数個付けた30g程度の株を秋植え(9~11月)するのが基本ですが、冬期に土壌が凍結するような寒冷地では春植え(4~5月)します。5~6月に花茎が伸びてきますが、根の肥大を促すため蕾の時に花序の下から切除します。連作障害が著しく(根腐れ病等の発生)、4~5年の輪作が必要とされています。
本種はやや冷涼な気候を好み、現在、北海道、東北で主に生産されています。なお、北海道に野生する植物はエゾカノコソウ(V. fauriei Briquet forma yezoensis(Kudo)Hara)として本州産のものと区別されることがあります。また、現在栽培されている種類であるホッカイキッソウは、北海道の層雲峡に自生していたものが1940年頃に本州に渡り、その後北海道に再び導入され栽培されたものが始まりとされていますが、その基原についての詳細は不明です。
医薬基盤・健康・栄養研究所薬用植物資源研究センター 客員研究員 柴田敏郎
●月刊「技術と普及」平成29年12月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載