トウキ(セリ科)
2018年10月17日
- (植物学名)Angelica acutiloba Kitagawa
- (生薬名)トウキ(当帰)
- (利用部位)根
分布、主な産地
日本の野生種から栽培化されたと考えられている多年草で、花が咲くと株は枯死します。
茎は高さ40~90cm、赤紫色を帯び無毛、葉は互生し、1~2回三出羽状複葉で、小葉は2~3深裂し、葉の上面は濃緑色でつやがあります。
トウキ(左)とトウキの花(右 提供:飯田修)
栽培の歴史は古く、農業全書(1698年)には詳細な栽培法が記載されています。
現在は奈良、和歌山、富山、群馬、北海道、栃木等で栽培されています。
栽培は1年間苗床で育成した苗を春に本圃に定植し、葉が黄変する晩秋~冬に掘り上げて収穫する。大きな苗を定植すると抽苔しやすく、抽苔した株は生薬として使用できないため、根頭部直径が8mm以下の苗を選んで定植します。
植物学的な変種としてホッカイトウキA. acutiloba var. sugiyamae Hikinoがあり、北海道で栽培されています。
本種は大正時代に北海道北見地方でエゾノヨロイグサA. anomala Lall.と交配して育成されたという説とトウキの変異説がありますが、いまだ明らかになっていません。ホッカイトウキとトウキは容易に交雑し、雑種を作ります。
医薬基盤・健康・栄養研究所薬用植物資源研究センター 客員研究員 柴田敏郎
●月刊「技術と普及」平成29年12月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載