提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


収量及び果形に優れ年内収穫可能なイチゴ新品種「にこにこベリー」

2018年10月09日

背景
 宮城県は東北一のイチゴ産地であり、宮城県育成品種「もういっこ」と栃木県育成品種「とちおとめ」が主力品種となっています。
 「とちおとめ」は、開花が早く年内収量が多い品種ですが、「もういっこ」より総収量がやや少なくなります。一方「もういっこ」は宮城県の気候に適し、収量が多い品種ですが、開花が遅く年内収量が少ない特徴があります。
 そこで、「とちおとめ」と同程度以上に開花が早く、多収でかつ高品質なイチゴ品種の育成を進めてきた結果、新品種「にこにこベリー」が誕生しました。


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図1 平成29年11月試験販売開始


来歴
 果実が大きく、多収な「もういっこ」を子房親(めしべ)とし、早生性を有し、果実形質が優れる「とちおとめ」を花粉親(おしべ)として、平成18年に交配、得られた実生(種)から、冬期の草勢が強く果実形質に優れ、早生性を有した4系統を選抜しました。
 このうち、平成27年から高設養液栽培における試験を開始したところ、「とちおとめ」と同程度以上の早生性を持ち、果形が優れ、果実硬度の高い1系統が選抜されました。
 この系統は現地試験においても高い評価が得られたことから、「にこにこベリー」と命名し、平成29年3月に品種登録出願を行いました。「にこにこベリー」は全国の皆様からの支援をいただき震災復興と共にできた品種で、作り手、売り手、食べた皆様が笑顔になるようにという願いを込めて名付けました。


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図2 「にこにこベリー」果実


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図3 現地での栽培状況


品種の特徴
○草姿は立生で、草勢は「とちおとめ」、「もういっこ」と同程度。ランナー数は「とちおとめ」より多い。
○果形は円錐形で果皮色は赤色。果形の揃いが良く、乱形果の発生も少ない。また、果肉色も赤い。
○糖度と酸度は「もういっこ」と同程度。また、果実硬度も同程度でとても硬く、輸送性に優れる。
○夜冷短日処理による早出し栽培では、収穫開始が「とちおとめ」よりやや早く、年内収量及び5月末までの収量は「とちおとめ」より多い。
○普通促成栽培では、収穫開始は「とちおとめ」よりやや早く、年内収量及び5月末までの収量は「とちおとめ」、「もういっこ」よりも多く、多収である。
○平均1果重は「とちおとめ」より小さいが、10g以上の大果率は74~75%と「とちおとめ」と同程度で、商品果数は「とちおとめ」より40%多い。


表1 「にこにこベリー」の開花日と収穫開始日(2015~2016年)
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栽培上の注意
○「にこにこベリー」は平成29年3月27日に品種登録出願を行い、現在出願中である。
○「にこにこベリー」の親株は、平成30年度から県内生産者に提供を開始する予定である。
○高設養液栽培に適する品種である。また、炭酸ガス施用や温湿度制御等により収量が高まることを確認している。
○「にこにこベリー」の栽培可能地域は現時点では宮城県内に限定されています。(平成30年10月現在)


 本稿の内容は「収量および果形に優れ年内収穫可能なイチゴ新品種「にこにこベリー」」(普及に移す技術第93号)として宮城県農業・園芸総合研究所のwebサイトで閲覧することができます。
 宮城県では、震災を乗り越えてできた新品種「にこにこベリー」を全国の皆様にお届けできるよう面積拡大に向けて取り組んでいきます。


執筆者
宮城県農業・園芸総合研究所
高山詩織