ホソバオケラ(キク科)
2018年10月05日
- (植物学名)Atractylodes lancea De Candolle
- (生薬名)ソウジュツ(蒼朮)
- (利用部位)根茎
分布、主な産地
中国華中の東部地域に分布する多年生草本で、山野の明るい低木林内や草地に自生します。
通常雌雄異株で、雌花を着生する株および両性花を着生する株があります。茎は直立して高さ30~80cm、葉は互生して卵状ひ針形~楕円形。8~10月に茎の頂きに白色~帯紅色の頭花をつけます。薬用に用いる根茎は、不規則に屈曲した円柱形~不整塊形を呈します。
ホソバオケラ(左)とホソバオケラの花(右)
現在日本では栽培生産はなく、中国湖北省や江蘇省からの野生株に由来する輸入生薬に全面的に依存していますが、現地では栽培化が進められています。
生きた植物が日本に伝来したのは江戸時代享保の頃と考えられ、各地の薬園で栽培され、特に新潟県佐渡で栽培されていた株はサドオケラという名前で今日まで残存しています。なお、日本には雌株のみが伝来したと推測されており、それらが株分けで増殖されたため日本で栽培しても結実しません(稀にできることがあります)。
国内での栽培も試みられており、秋に株分けした根茎(種イモ)を植え付け、 3年後の秋に収穫する栽培法が検討されています。
医薬基盤・健康・栄養研究所薬用植物資源研究センター 客員研究員 柴田敏郎
●月刊「技術と普及」平成29年10月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載