- (植物学名)Foeniculum vulgare Miller
- (生薬名)ウイキョウ(茴香)
- (利用部位)果実(分果)
分布、主な産地
コーカサス地方から地中海地域原産とされています。
大型の多年草で高さ2mに達し、植物全体に香りがあります。
耐寒性はありますが零下3℃程度で寒害を受けるので、冬期に土壌凍結する地域では越冬できません。
生薬の主産地は中国(山西、内蒙古)です。
本種は平安時代に日本に導入され、江戸時代には各地で栽培されたと言われています。密封して吸湿を防ぎ、冷蔵庫か冷暗所で保存すれば少なくとも5年以上は発芽力は維持されますが、冷凍庫内保存では発芽力は低下します。
ウイキョウ(左)とウイキョウの花(右 提供 :飯田修)
効用、用途等
生薬ウイキョウは、特異なにおいおよび味があります。
第17改正日本薬局方では、アネトールを主成分とする芳香性の精油を0.7mL/50g以上含むことが規定されています。精油およびアネトール含量は、暖地で栽培するほど高くなる傾向が認められています。緑色を帯び香りが強く、やや甘味のあるものが良品とされています。
芳香性健胃薬として、安中散(あんちゅうさん)、丁香柿蒂湯(ちょうこうしていとう)、などの漢方処方に配合されるほか、胃腸薬などの医薬品原料、香辛料(フェンネル)として利用されています。
執筆者
医薬基盤・健康・栄養研究所薬用植物資源研究センター 客員研究員 柴田敏郎
●月刊「技術と普及」平成29年8月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載