提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


カミツレ(キク科)

2018年09月27日

  • (植物学名)Matricaria chamomilla L.
  • (生薬名)カミツレ
  • (利用部位)頭花

分布、主な産地

 カモミール、カモマイル、ジャーマンカモミールとも呼ばれているヨーロッパ原産の1年生または越年生草本。
 類似植物のローマカミツレ(別名ローマンカモミール:Chamaemelum nobile(L.) All.)はヨーロッパ原産の多年生植物。生薬カミツレの基原植物はカミツレのみであり、ローマカミツレは生薬カミツレの基原植物に該当しません。両種は植物分類上の属が異なる別の植物であり、その形態的、成分的特性は異なります。
 頭花は花床周辺部の白色の舌状花と中央部の多数の黄色の管状花からなり、開花が進むにつれて花床が盛り上がり、カミツレの方がローマカミツレに比べて高くなります。カミツレの花床の内部は中空ですが、ローマカミツレでは充実しています。

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カミツレ(提供 :薬用植物総合情報データベース)

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カミツレの花(左)とローマカミツレの花(右)

 カミツレの香りは花に、ローマカミツレは花、茎、葉にあります。
 頭花の収穫・調製は芳香性と収量性のため、管状花がほぼ咲き終わった頭花のみを手摘みで採取し、去雑物や虫の混入を防ぎながら自然条件下で乾燥します。作業は機械化が困難で、手間を要します。
 カミツレの国内栽培は秋田県の八峰町など、全国各地で行われていますが、生産地や生産量の詳細は不明です。

効用、用途等

 生薬カミツレは日本薬局方外生薬規格2015に収載されています。
 特異な芳香があり、わずかに苦い味がします。
 抗炎症、健胃、鎮静、鎮痙、鎮痛、強壮、利尿、発汗など多くの作用があり、ヨーロッパでは古くから感冒、健胃、婦人薬等として用いられてきました。カミツレは抗炎症作用が強く、ハーブティーとして、ローマカミツレは鎮静作用が強く、精油として多く利用されています。
 主な用途は、ハーブティーはじめ入浴剤、シャンプー、乳液や化粧水等の化粧品類、育毛剤、香料原料等です。キク科植物にアレルギーを持つ人は、カミツレ類の使用に注意が必要です。

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執筆者
医薬基盤・健康・栄養研究所薬用植物資源研究センター 研究員 飯田 修

●月刊「技術と普及」平成29年9月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載