種子が少なく果汁が多いレモン新品種「イエローベル」
2017年02月28日
育成過程
「イエローベル」は、広島県立総合技術研究所農業技術センターにて、2000年に「道谷系ビラフランカ」の自然交雑実生の小粒種子から三倍体を選抜して得られた個体です(写真1)。2010年3月に品種登録出願を行い、2012年3月にレモン種として品種登録されました。黄色く鈴のような色形から命名されました。
品種特性
果実は長球で果面はやや滑らかです(表1)。12月中旬に完全着色となり、果実重は約210g程度で、種子数は一般的な品種と比べて少ないです。果皮は薄くて軟らかいので果汁を搾りやすく、果汁が多いです。香気は中程度で、酸度は一般的な品種と比べてやや低く、まろやかな味です。
樹勢は強く、樹姿は直立と開張の中間で、枝梢は密に発生し、枝梢の長さは中です(写真2、表2)。枝梢のとげの発生は多く長いです。花は総状で花粉量は中程度ですが、花粉の発芽率は極めて低いです。
栽培上の留意点
無核で結実しますが、周辺に花粉が多い品種があるなどの栽培条件によっては、少数の種子が入ります。着花数は多いですが、結実率が低い年があります。かいよう病などの病害虫防除は、レモン既存品種に準じて実施します。
なお、苗木の供給は県内に限られています。
執筆者
金好純子
広島県立総合技術研究所農業技術センター 果樹研究部