早生・大玉のニホンナシ新品種「香麗」、「なつみず」
2014年07月14日
育成の背景
神奈川県においてナシは「幸水」、「豊水」を主要品種として、都市農業の利点を活かした直売や贈答用宅配を中心に販売されています。経営のさらなる安定のためには販売期間の前進拡大と旧盆前の贈答用需要への対応が課題となっていますが、既存の早生品種の導入はあまり進んでいません。
そこで、神奈川県農業技術センターではこれらの課題に対応できる早生・大玉の新品種育成に取り組み、「幸水」より早く収穫できる早生の赤ナシ新品種「香麗(こうれい)」及び「なつみず」を育成しました。
品種の特性
「香麗」の収穫期は7月下旬から8月上旬で、「幸水」より2~3週間程度早く収穫できる極早生品種です。果実重は400g程度で、極早生としては極めて大玉となります。糖度は13%を超え、酸味はほとんどなく食味良好です。果肉は「豊水」並に柔らかく、片親の「筑水」に似た香りがあります(表1、2)。
「なつみず」の収穫期は8月上旬から中旬で、「幸水」より10日程度早く収穫できる早生品種です。果実重は400~500g程度となり、「幸水」前の早生としては極めて大玉です。糖度は13%を超え、わずかに酸味がありますが、糖酸のバランスはよく食味良好です。また、果形がよく外観良好な品種です(表1、2)。
栽培上の留意点
両品種とも病害虫の発生は少なく、慣行防除で対応できます。腋花芽着生が少ない傾向であるため、短果枝を中心に着果させるよう樹体管理を行います。
「香麗」及び「なつみず」を導入することにより、7月下旬から「幸水」収穫始期にかけて、大玉で高品質な果実を収穫・販売することができます。また、特に「なつみず」の収穫期は旧盆前の需要期と重なるため、贈答用需要にも対応できると考えられます。
苗木の供給について
「香麗」及び「なつみず」の苗木は神奈川県外にも販売されています。
購入希望の方は(社)神奈川県園芸協会(TEL:0467-85-2130)にお問い合わせください。