佐土原ナス-幻の伝統野菜の復活!
2014年05月16日
由来と特徴
●栽培地域 :宮崎県宮崎市
ナスは、古くから日本で栽培され、地域性の豊かな野菜の1つです。佐土原(さどわら)ナスもその中の1つで、江戸時代に佐土原藩(現在の宮崎市佐土原町・西都市・新富町)で盛んに栽培されていたためこの名前がつけられたと言われています。
佐土原ナスは長ナスで、果色が薄い紫色です。夏期には、さらに薄い紫色になる上に形の揃いが悪いため、外見重視の消費者ニーズに合わず、昭和55年ごろに一度市場等から姿を消した経緯があります。
地元の種苗店から委託され佐土原ナスの種子を保管していた宮崎県総合農業試験場が、宮崎市の農家・外山晴英氏に試験栽培の話を持ちかけました。外山晴英氏は平成14年に栽培を行いました。しかし、半数は実が太らず、出荷ができませんでしたが、出荷できた残り半分を直売所で販売したところ「おいしい」と評判になりました。そこで、地元の農家仲間に声をかけて栽培面積を少しずつ拡大し、平成17年には「佐土原ナス研究会」を設立し、現在、宮崎市を中心に約1.3haで栽培が行われています。
右 :色が薄い紫色の長ナス「佐土原ナス」
栽培方法
作型は、「早熟栽培(出荷時期4月~)」と「露地栽培(出荷時期6月~)」を中心に栽培されています。
栽培方法は、一般的なF1品種と特に変わりませんが、佐土原ナス研究会では、自家採種を行い、優良系統を選抜して、形状の揃った佐土原ナス栽培に取り組んでいます。
宮崎市佐土原ナス研究会のみなさん
本田愉美子
宮崎県中部農林振興局農業経営課 主査
●月刊「技術と普及」平成25年6月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載