提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


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注目の農業技術



柔らかくて濃厚な甘さのジャンボ落花生「おおまさり」

2008年04月10日

 国産落花生は、主に煎り豆として消費されていますが、作付面積は年々減少しています。

 一方、従来は農家や産地の人々しか味わえなかった"ゆで莢"の消費が、冷凍やレトルトなどの技術進歩により、拡大しています。


 そこで、千葉県では農林水産省の指定試験事業で、極大莢、極大粒で、甘く柔らかい落花生「おおまさり」を、"ゆで"加工用として育成しました。


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 :「おおまさり」の草姿
 :左側が「おおまさり」の莢実、右側の「郷の香」に較べて2倍の大きさ


 花粉親(父本)には、千葉県農林総合研究センターが所有する1500余の保存品種の中から、最も大莢で食味も良い「Jenkins Jumbo」を選びました。

 ただし、この品種には、

・収量が低いこと
・子房柄(茎と莢を繋ぐひも状の部分)が弱く、収穫時に莢の大半が土中に落ちてしまうこと
・極晩生であり、秋までに充実した子実をたくさんつけるのが難しいこと
・極端な伏性でしかも大株なため、収穫時の作業性が悪いこと

 など、多くの欠点がありました。


 そこで、母本には食味が良く、多収で、中生、草型も立性で、作業性、栽培適性が優れる「ナカテユタカ」を選び平成4年に交配、平成18年まで、14年間の育成期間を経て、平成19年に落花生新品種「おおまさり」として種苗登録申請を行い、出願公表されました。


 特徴は、なんと言っても莢実の大きいことで、実物は写真以上にインパクトがあります。
 また、大きいことに隠れて見落とされがちですが、食味も柔らかくて濃厚な甘さがあり、画期的な良食味品種です。収量性も高く、"ゆで莢"用としては「ナカテユタカ」や「郷の香」より多収となります。収穫時期は"ゆで莢"用では、開花期後85日が目安です。


 欠点は、父本の「Jenkins Jumbo」に較べ、大幅に改善されたものの、伏性に近い草型で大株なことで、「ナカテユタカ」や「郷の香」の栽培に慣れた生産者にとっては、少々作りにくい品種かもしれません。
 現在千葉県は、イベント等で「おおまさり」の積極的な普及に努めています。


11月11日(ピーナッツの日)生まれの双子のピーナッツ大使によるPR
11月11日(ピーナッツの日)生まれの双子のピーナッツ大使によるPR)


 本格的な販売は、平成21年からとなる見込みですが、将来、全国の主産県で栽培され、国産落花生のさらなる需要増となることが期待されています。


執筆者
農林水産省らっかせい育種指定試験地
千葉県農林総合研究センター 育種研究所 畑作物育種研究室 落花生試験地
鈴木  茂


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