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カラスビシャク(サトイモ科)

2018年9月20日

  • (植物学名)Pinellia ternata Breitenb.
  • (生薬名)ハンゲ(半夏)
  • (利用部位)塊茎(球茎)

分布、主な産地

 北海道~琉球、朝鮮半島、中国に分布し、とくに畑地の雑草として普通に見られる多年草。
 繁殖法は、種子(液果)、ムカゴ、球茎の分球と戦略性に富み、繁殖力旺盛で、雑草化しやすいです。温暖地では夏季の開花後、地上部が一時枯死し(初秋に再萌芽する)、球茎が分球しますが、北海道など冷涼地では地上部は枯れず成長を続け、球茎は分球せずに成長し、大きな塊となります。
 カラスビシャクは植物体が小さいため、集約的な栽培が可能ですが、収穫物も小さいため、球茎の収穫、選別、皮むき等の作業に手間を要します。

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カラスビシャク(左)とカラスビシャクの花(右)

 2014年度における生薬ハンゲの国内使用量は812.2tですが、国内栽培はなく、全量中国からの輸入に依存しています。
 中国の主な産地は四川、貴州、雲南、湖北、山東、安徽など多くの省があります。

効用、用途等

 生薬ハンゲはほとんどにおいがなく、味は初めなく、やや粘液性で、後に強いえぐ味を残します。
 去痰、鎮吐、鎮静などの作用があり、小柴胡湯(しょうさいことう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) 、小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)などの漢方処方に配合されます。

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提供 薬用植物総合情報データベース

執筆者
医薬基盤・健康・栄養研究所薬用植物資源研究センター 研究員 飯田 修

●月刊「技術と普及」平成29年7月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載

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