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アミガサユリ(ユリ科)

2018年9月13日

  • (植物学名)Fritillaria verticillata Willd. var. thunbergii Baker
  • (生薬名)バイモ(貝母)
  • (利用部位)りん茎

分布、主な産地

 中国原産の多年草。
 アミガサユリの名前の由来は、花の形が編笠に似ていること、さらには花の内側に紫色の網状の斑紋があることからきています。

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アミガサユリ(左)とアミガサユリの花(右)

 本種を基原とする生薬は、中国市場では浙貝母(セツバイモ)と呼ばれています。アミガサユリは本邦には1700年代に渡来し、奈良県周辺で栽培されてきました。1980年代中頃には、奈良県をはじめ鳥取、宮城、福島、山形、秋田、岩手の各県で栽培が行われていましたが、年々栽培地や栽培面積が減少し、2000年頃に最後の産地であった奈良県でも栽培を終了しました。
 大和地方における生薬の調製加工は、収穫したりん茎が乾きづらいため、石灰をまぶして乾燥する独特の方法で行われていました。
 2014年度における生薬バイモの国内使用量は7,841kgで、全量中国からの輸入に依存しています。中国の主な産地は浙江、江蘇、安徽、湖南の各省です。

効用、用途等

 生薬バイモは特異な弱いにおいがあり、苦い味がします。
 鎮咳、去痰、排膿などの作用があり、滋陰至宝湯(じいんしほうとう)、清肺湯(せいはいとう)、当帰貝母苦参丸料(とうきばいもくじんがんりょう)などの漢方処方に配合されます。

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提供 :薬用植物総合情報データベース

執筆者
医薬基盤・健康・栄養研究所薬用植物資源研究センター 研究員 飯田 修

●月刊「技術と普及」平成29年6月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載

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