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2016年3月30日
ユコウは、ミカン科ミカン属に属する。ユズとダイダイの自然交雑種といわれており、漢字では「柚香」もしくは「柚柑」と表記されます。
果実は扁球形で果頂部がくぼみ、果面はユズより滑らかですが、果実中央から果頂部にかけて大きなしわが多数あります。果実によってはユズに近い外観となります。
左 :ユコウの果実はシワが特徴 / 右 :収穫されたユコウ果実
ユコウは、スダチやユズとは異なり、青果としての利用はほとんどなく、果汁をカンキツ酢として利用しています。主産地の上勝町では、各家庭でユコウを搾汁し、自家用食酢として寿司の合わせ酢をはじめ、魚の酢締め、ぽん酢の隠し味等に幅広く利用されています。酸味がスダチ、ユズと比べまろやかであることから、「香りのユズ」「酸味のスダチ」「味のユコウ」と言われています。
地元JA(JA東とくしま)では、地域特産物であるユコウの販売戦略として加工事業にも取り組んでおり、ぽん酢や生酢のほか、ジュースやすし酢、ドレッシング等の加工品とすることで、1年を通じユコウを手軽に利用することができるようになりました。
左から さっぱりとした飲み口が人気の「ゆこうどりんく」、味と手軽さが人気の「すし酢」、好みや料理に応じて使い分けができる「いろどり酢シリーズ(3種)」
ユコウの栽培面積は県下で約39ha、うち25haは「葉っぱビジネス"彩(いろどり)"」で全国的にも有名な徳島県上勝町で栽培されており、ユコウの主産地となっていますが、本県特産のスダチ(445ha)、ユズ(377ha)と比較しても生産規模・生産量とも少なく、「幻の果実」とも言われています。
近年の食の多様化も少なからず影響していると思いますが、カンキツ酢、とりわけ知名度が低いユコウ酢は需要が極端に低迷した時期があり、産地では多くの在庫(冷凍酢)を抱え、生産者に対して加工原料の出荷制限をかける危機的な状況となっています。
このため、今年(平成26年)6月に開催された産地会議では、ユコウのさらなるPRや輸出も含めた販路開拓、食品以外の用途も視野に入れた新商品の開発等に取り組むことを決議し、農業支援センターもさまざまな場面で産地の支援を行っているところです。