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2013年8月29日
研究の背景とねらい
弘前大学は1981年から進めてきたリンゴ新品種育成プログラムにより、生食可能な赤果肉リンゴとして「紅の夢」を選抜し、2010年に品種登録しました。
世界的に赤肉リンゴ品種の育種が活発になる中、日本発の高品質・高機能リンゴを市場に供給することを目指しています。日本のようにリンゴの皮をむいて食べる文化のある国々でも、果肉からアントシアニン等、機能性成分を摂取できるものと考えています。
特徴とメリット
最大の特徴は、これまでの赤肉リンゴ品種にありがちだった「渋味」がなく、生食が可能であることです。
大きさも300g以上の大型の果実が生産できます。母親の「紅玉」の形質を受け継いで、酸味が強い品種なので生食のみならず、果肉の赤色を生かしたさまざまな商品に加工できます。
褐変しにくいことからケーキやサラダのトッピングとしても利用可能です。さらに、既存のリンゴ品種と紅白セットにして販売することで、慶事用として新たな需要が生まれるものと期待しています。
研究成果の活用や今後の課題等について
当初、果実表面に多発する斑点状の生理障害の防止法の開発が課題でしたが、有袋栽培により問題なく栽培できることが明らかになりました。
また、果肉の着色には必ずしも光が必要でありません。果皮の着色は容易であることから、反射シートや玉回しの作業は省略できると考えています。
栽培は青森県内に限らず全国で可能で、本年秋より(株)原田種苗で苗木が販売されます。
現在、弘前大学では、地元を中心とした企業、行政、生産者とともに「赤い果肉リンゴ『紅の夢』普及推進委員会」を設立し、現場の研究ニーズにこたえながら栽培の普及を推進する体制を整えています。
また、HFF33、HFF60という、さらに2品種の赤い果肉のリンゴ品種を品種登録申請中で、9月下旬から11月中旬に至るまでのリレー出荷体制の確立を目指しています。
▼詳しい情報は『紅の夢公式ホームページ』をご覧ください。
執筆者
国立大学法人 弘前大学 農学生命科学部
附属生物共生教育研究センター 藤崎農場
助教 博士(農学) 松本 和浩
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