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外観美麗な区別性の高い早生カンキツ新品種「みはや」

2013年4月 2日

育成経過
 「みはや」は、1998年に果樹試験場カンキツ部(口之津)(現 農研機構果樹研究所カンキツ研究口之津拠点)において、早生で良食味の「津之望」に、外観美麗で良食味の中間母本No.1408を交雑して得られた実生から選抜された早生カンキツです。2006年からカンキツ第10回系統適応性検定試験に供試され、2012年3月に出願公表となっています。
 品種名は、外観が'美'しく、'早'生であることから「みはや」と命名されました(写真1)


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(写真1)みはや果実 


品種特性
 「みはや」は、11月下旬より成熟期を迎える品種です。成熟期の果汁の糖度は12%程度、酸含量は0.6%程度となり、糖度が比較的高く酸味の少ない品種で、アンコールに似た芳香があり、食味が優れています(表)。


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(クリックすると拡大します)


 果実重は平均190g程度、果皮は滑らかで、11月上旬には赤橙色に完全着色し、外観美麗でウンシュウミカンとは明確に区別されます(写真2)
 剥皮のしやすさは、ウンシュウミカンに比べて劣りますが、手で剥けて、ウンシュウミカンで問題となる浮皮は発生しません。3分の2以上が種なし果となり、じょうのう膜は軟らかく食べやすい品種です。
 果肉には、ウンシュウミカンと同程度に、機能性成分のβ-クリプトキサンチンが含まれています。
 樹姿は直立性と開張性の中間で、樹勢は中庸です。病害抵抗性は、かいよう病とそうか病ともに一般的なカンキツ類の防除を行えば、栽培上問題になることはありません。


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 :(写真2)みはやと温州ミカンの果実_上から順にみはや、小原紅早生、青島温州
 :(写真3)結実状態


栽培上の留意点
 年内収穫可能なので、ほとんどのカンキツ栽培地帯で栽培可能です。
試験地や、年によって糖の蓄積にばらつきが認められています。夏~初秋にかけて雨の少ない年、また、安定して着果している場合に糖度が高くなる傾向があるので、耕土が浅く、水はけのよい地域での栽培が、より適しています。


執筆者
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構
果樹研究所 カンキツ研究領域口之津拠点
野中 圭介

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