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2011年3月11日
●育成の経過
1991年に農林水産省果樹試験場(現・農研機構果樹研究所)において、早生のニホングリ大果系統である550-40に「丹沢」を交雑して得られた実生から選抜されました。2000年からクリ第6回系統適応性試験に供試され、2007年10月に品種登録されました。
●樹の特性
樹姿はやや直立で、樹勢は中程度です。雄花と雌花の満開期は、いずれも「丹沢」や「国見」より1~2日早いです。収穫期は育成地のつくば市では9月15日で、「丹沢」より遅く、「国見」と同時期です。(表1)
表1 樹の特性
果実の側面の形は帯円三角形で、果皮の色は赤褐色です(写真1)。
一果平均重は、約30gと大果です。果肉色は黄色、肉質はやや粉質であるとともに、甘味と香気が「丹沢」や「国見」より多く、品質が優れています(表2)。双子果の発生はやや多く、裂果は少ないです。虫害果率は「丹沢」より若干高い傾向にあります。
●渋皮剥皮性
「ぽろたん」の最も大きな特徴は、従来のニホングリと異なり、渋皮の剥皮性が極めて良いことです。
「丹沢」や「国見」の1果あたりの焼き栗の渋皮剥皮時間は2分以上で、剥皮率も低く、渋皮剥皮は困難ですが、「ぽろたん」では渋皮剥皮時間が3秒程度で、剥皮率も非常に高く、チュウゴクグリと同程度に優れています(表3)。
表3 焼きグリの渋皮剥皮性
●栽培上の留意点
「ぽろたん」の渋皮剥皮性の良さを活かした有利販売のためには、「ぽろたん」以外の渋皮の剥けにくいニホングリが混入しないようにする必要があります。
そのためには、同時期に成熟する、果実の外観が極めて似ている「国見」との混植を避けることや、他品種の混入が生じやすい高接ぎを行わない等の方策が必要です。
また、年次、地域によっては、モモノゴマダラノメイガ等により、虫害果の発生率が高くなることがあります。密植を避けるとともに、適期防除を行うことが望ましいでしょう。
●ぽろたんの食べ方
「むいた果実をそのまま食べる場合」
1)予熱したオーブントースターに、半分に切ったぽろたんを並べます。
2)そのまま加熱します。
※ 加熱時間は600Wで13~15分程度が目安です
3)加熱後、温かいうちにむけば、果実がぽろんとはずれます。
※ むけた果実はそのままおいしくいただけます
「むいた果実を調理する場合」
1)沸騰したお湯に、半分に切ったぽろたんを入れます。
2)そのまま2~3分ゆでてください。
※お湯の温度が下がらないよう注意しましょう
3)お湯から取り出した後、温かいうちにむけば渋皮ごと皮が外れます。
※ 果実は生(なま)に近い状態です。さまざまなお料理にご活用ください
「その他」
ぽろたんは電子レンジでむくこともできます。
1) 半分に切ったぽろたんを加熱します。
2)加熱時間は600Wで2分程度が目安です。
※一度に加熱する数は、ぽろたん5個分(半分にした状態で10個)が目安です。加熱する個数によって加熱時間を調節してください
写真2 鬼皮にナイフで傷を入れた後、電子レンジ(700W)で2分間加熱したクリ果実。筑波(ニホングリ)は渋皮がはがれないが、ぽろたん(ニホングリ)は岐阜1号(チュウゴクグリ)と同様に渋皮が簡単にはがれる