MENU
2010年9月 2日
食べきりサイズでおいしいサツマイモ品種「ひめあやか」
サツマイモの消費、特に家庭における消費の拡大には、食味がよいなどのほか、「手軽に食べられる」、「扱いやすい」ことが必要と考え、作物研究所では、従来の品種よりも小さないもがつきやすい、サツマイモ品種の開発に取り組んできました。
その結果、食べきりサイズで利用しやすく、鮮やかな黄色がきれいで、おいしい青果用サツマイモ品種を育成しました。いもが小さく、加熱したときの肉色の彩りが鮮やかであることから「ひめあやか」と命名しました。
「ひめあやか」の特徴
●「ひめあやか」の平均いも1個重は、青果用の主力品種「ベニアズマ」や「高系14号」の6割程度。両品種に比べて全いも収量は少ないが、200g以下(食べきりサイズ)のいも収量は多い。
各品種の平均的大きさのいも(「ひめあやか」の右は、約50gのいも)
●蒸しいもや焼きいものような加熱調理をすると、肉質がやや粘質で、食感はしっとりとして、非常においしい。また、これまで規格外とされていた非常に小さないもも、すじっぽさがなく、おいしい。
●「ベニアズマ」や「高系14号」に比べて加熱調理後の変化(黒変)が少なく、肉色は鮮やかできれいな黄色。
●「ベニアズマ」や「高系14号」よりも、立枯病、つる割病、および黒斑病に強い。
「ひめあやか」の収量、食味、病害虫抵抗性
(注)作物研究所(つくば市)おける成績。2003~2008年 マルチ標準栽培(5月中旬植付、10月中旬収穫)
* :焼きいもの( )内は50g以下のいもの評価
**:サツマイモネコブセンチュウ、病害抵抗性は、作物研究所(つくば市)における判定結果
「ひめあやか」の栽培適地と今後の期待
全国のサツマイモ栽培地域で栽培できますが、現在のところ、特に埼玉県など関東地方で有望視されています。
近年は、柔らかい食感を持つ、やや粘質のサツマイモが好まれており、主力品種で粉質の「ベニアズマ」とは違った食感のおいしいサツマイモとして、品種の多様化が可能となります。
家庭で利用しやすく、色がきれいでおいしいサツマイモとして、青果販売や、高品質の焼きいも、お菓子等への利用により、消費拡大が期待されます。
「ひめあやか」の苗は、2010年春より民間種苗会社等から販売されています。
焼きいもの切断面(左から「ひめあやか」「ベニアズマ」「高系14号」)
執筆者
農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所 食用サツマイモサブチーム
熊谷 亨
(文中の画像をクリックすると大きく表示されます)