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野菜

ミニカリフラワー栽培における機械化・施肥低減技術の実証 (秋田県・平成21年度)

背景と取組みのねらい

 秋田県横手市ではミニカリフラワー栽培が急速に拡大している。なかでも、近年設立が多い集落営農組織の取り組みが多く、米・大豆以外の複合部門を強化するとともに、農閑期労働力の有効利用が図られている。一方、集落営農組織の栽培では、収穫、調整等を行う作業者数が多く、労賃がかかり増しする傾向にあり、課題となっている。

 今後、個々の組織で栽培面積拡大を図り、更なる産地規模の拡大につなげるためには、作業の省力化とコスト削減技術が求められている。また、肥料高騰や環境調和型農業へのニーズの高まりを受け、より肥料効率の高い施肥体系の検討が求められている。
 
 このことから、機械化体系の導入による省力・軽労化効果を明らかにし、同時に施肥体系の検討として化学肥料の低減による栽培実証を行い、肥効調節型肥料施用と減肥(窒素成分)による収量・品質への影響を検証する。
具体的には、 
 慣行区 (平うね、肥料条施)、 
 実証区1 (作うね、うね内全層施肥)、
 実証区2 (作うね、うね内局所施肥 :うね中央部地表下15㎝に線状に施肥) で、施肥法の違いが生育に与える影響の検討を行った。

実証した作業体系(作業名と使用機械)


作業別の能率と効果

補助暗渠・反転すきこみ・
砕土鎮圧
能率と効果
 
サブソイラによる
耕盤破砕、暗渠施工

 
バーチカルハローによる
表面砕土・鎮圧 
 
・実証区の排水対策及びほ場準備として、次の機械を用いた。
 ○サブソイラ(耕盤破砕、弾丸暗渠)
 ○プラウ(反転)
 ○バーチカルハロー(砕土・鎮圧)

・降雨後の水分の地下浸透が早く、未施工のほ場より早期にほ場作業が可能になる。また、集中豪雨による苗の枯死等も減少する。

・作業時間は10a当たり合わせて約1.5時間。
(作業委託を想定して実施)

●うねの形状(実証区) 
 ※クリックすると拡大します
 播種 7/1~7/10
 定植 7/25~8/5
 収穫 10/10~11/20

 栽培様式(慣行区)
  マルチなし、平うね、1条
  条間80cm、株間25cm
 
●型式
パワクロトラクタ (KL5150FQMANPC) 
サブソイラ (3S1K)
プラウ (CRQY144C1H)
バーチカルハロー (DC230SP)


うね立て同時施肥 能率と効果
 
うね内施肥・成形機
(単条3畦)

 
 


・作業時間は10a当たり0.5時間。
・実証区は、慣行区の平うねに比べ、排水性の向上で効果が見られた。
・活着前の強い降雨により、各区で株の枯死が確認されたが、平うねの慣行区でその程度が大きかった。
 
●型式
パワクロトラクタ (KL5150FQMANPC)
超砕土成形ロータリ (RT-415)
単条3畦成形機 (STS-3002KS)
 ※未発売(条幅拡張タイプ)
畦内3条局所施肥機 (DS-100MTK)


ロータリ耕前肥料落下 → うね内全層施肥
ロータリ耕後うね成形前落下 →うね内局所施肥 


植え付け 能率と効果
 
半自動移植機を用いた移植作業

 




・うねに沿って移植機の自走が可能で、直進走行性、操縦性が良くなった。従来は、運転者も含め3名の組作業であったが、2名で作業可能である。
・作業時間は10a当たり1.5時間。
・10a当たりの作業時間は3時間と、慣行の4.5時間に比べ、1.5時間省力された。
・慣行区よりも欠株率が低かったため、補植にかかる時間が慣行の32時間から8時間と、大幅に短縮された。特に、実証年では、定植直後の集中豪雨による枯死が多く発生した。

●型式
半自動移植機 (KP1E90)


成果

 機械化体系により、慣行に比べ労働時間を10a当たり35時間短縮できただけでなく、移植や補植、土寄せ作業においても作業の軽労化を図ることができた。
 組織で取り組むミニカリフラワーでは、基幹作業以外の補助作業や収穫・調整作業の労働時間が多いことが収益性向上の課題となっていた。このため補植、追肥等、作業の軽労化が図られることによる規模拡大の可能性を確認できた。

 作業ごとの延べ作業時間  

 
<施肥量> 
●10a当たり窒素施肥量は、想定外の追肥を入れると慣行区に対し、

 実証区1 :うね内全層施肥区で7%減(地域慣行に対し16%減)、
 実証区2 :うね内局所施肥区で12%増(同1%増) となった。

実証区1では、ほ場慣行(及び地域慣行)に対して10a当たりの施肥量を低減しながら、同等以上の生育量及び収量を確保できることがわかった。 

 肥料の分布状況

左 :実証区1(うね内全層施肥区) / 右 :実証区2(うね内局所施肥区) 

<生育>
●生育初期は、実証区(1、2区とも)が慣行区より良かったが、暗渠等の実施と作うねによる排水対策が湿害を軽減した効果が高いためと考えられる。
●実証区では、うね内全層施肥と局所施肥との違いにより、生育差が確認された。初期生育は、全層施肥区が局所施肥区を上回り、生育後半に局所施肥区が全層施肥区の生育量に近づいた。局所施肥区では、施肥位置が深かった(地下15㎝)ことが影響したものと考える。

<収量>
●実証区はいずれの区においても、調査株の全てで葉の巻きが十分あり、出荷可能な花蕾形成が見込まれることから、慣行区と同等の収量を得ることが可能と判断した。
●慣行区については、欠株率が高く、補植が多く、また、拾いどりしている現状から厳密な収量は確定出来なかったが、最終的な株立ち割合と栽植密度を勘案して実証区と同等とした。収穫株数は、慣行区2,851株/10a(株間25cm)、実証区2,726株/10a(株間27.6cm)。

<品質>
●慣行区と比べて実証区の品質は良かった。出荷率は慣行区90%、実証区95%と判定した。
●実証区2では、生育後半及び花芽分化期以降も肥効が続き、草勢が強く、実証区1に比べて花蕾の毛羽立ちが多くなった。茎の部分の空洞は、花蕾の大きさに比例して大きい傾向があり、区による相違はなかった。
右 :ミニカリフラワー花蕾の状況

≪まとめ≫
●肥効調節型肥料のうね内施肥、減肥により、慣行栽培と同等の生育量及び収量を確保することができる。品種特性の発現と高品質化のためには、生育初期に必要生育量を確保し、花蕾肥大期に必要以上に肥効を残さない施肥法が望ましい。

●今回の実証内容では、特にうね内局所施肥区について施肥位置が深く、施肥量も多かったことから、生育後半にかけて草勢が強くなった。このため、花蕾の毛羽立ちが若干多いなど、品質面で、うね内全層施肥区より若干悪い傾向であった。今後、うね内局所施肥の施肥位置(深さ)、施肥量を検討する必要がある。

●実証区では、うね内全層、局所施肥、いずれの区も減肥率を更に高めることが可能と予想される。今回の施肥量では、植えつけ株数が少なかった事もあり、一株当たり施肥量は十分であり、うね内施用で一株当たりどの程度まで成分量を低減出来るか、収量・品質への影響はどうかについては更に検討が必要である。

対象場所

秋田県横手市 


 

 
 秋田県横手市は、県南内陸部に広がる横手盆地の中央に位置し、東西約35km、南北約20km、総面積693.5k㎡で、県全体の6%を占める。東の奥羽山脈沿いはりんごを中心とする樹園地が形成され、西の出羽丘陵地帯では豊富な森林資源、草資源に恵まれて畜産が振興されている。中央は、奥羽山系を水源とする雄物川が流れ、その流域に水田を主体とする肥沃な耕地が形成されている。

 気象は典型的な内陸性気候で、年平均気温10.5℃、降水量1,595mm、積雪期間100日前後、積雪量は1mを超え、県内有数の豪雪地帯である。しかし、暖候期は温暖で日気温較差が大きく、農業生産に適している。

 人口は10万人ほどだが、年々高齢化が進んでいる。交通は中央を南北にJR奥羽本線、国道13号線と高速道路秋田道が通り、東西に国道107号線が通っている。秋田道は東北道に接続しており幹線道路網は整備されている。
 
(平成21年度 秋田県農林水産部農畜産振興課・平鹿地域振興局農林部普及指導課)

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