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2011年1月 7日
石川県能美市坪野集落は、高齢化率が市内で一番高く、過疎と高齢化が深刻な地域だ。この地区の25年以上にわたって耕作放棄されてきた土地1.5haを、クボタeプロジェクトが再生、荒れ放題だった谷間が見違えるような農地に復元された。
左 :復元作業前の西側の谷。2mくらいのヨシが群生
右 :同・東側の谷。水田や溝(水路)の位置を確認できない状態
人が減り農地が荒れていく中、市町村合併(平成17年)を機に里山地区の18町会が集まり、“自分たちの地域は自分たちで創る”ことを気概に市民や行政が協働して地域づくりを目指す「能美の里山ファン倶楽部」を結成。イベントや里山再生の取り組みを通じて、次第に地域外からの参加者が増えてきた。
ファン倶楽部では、「休耕田も資源である」ととらえ、休耕田に山菜を育てて山菜のオーナー制度を始めた。周辺の都市住民にオーナーになってもらい、地元住民との交流を通じて2010年春には山菜まつりを開催、多くの来場者で賑わった。また、ファン倶楽部では自然栽培研究グループを組織、休耕田を活用した市民農園がスタート。次第に地域住民の意識が変わり始めた。
そこで、耕作放棄地を利用して山菜づくりや自然栽培実証圃を拡げるとともに、新たな取り組みを始めたいという地域の強い要望を汲んで、県と市がクボタeプロジェクトに推薦、再生が実現した。
◆放棄地再生の経過
10月21日 クボタ、市、県が打合せを行い、その後現場を確認した。
11月8、9日 西側の谷(放棄後数年)の作業を開始
11月15日~19日 東側の谷(放棄後25年)を作業。
左 :パワクロトラクタとフレールモアによる除草作業
右 :刈り払い機による刈り倒し作業
特に東谷は、木が生えヨシがはびこり、用水路が埋まっていた。建設機械を入れて抜根、整地した。池(養殖用)にしてほしいという要望に応え、池も作られた。
左 :クボタ機械サービス・クボタアグリ両職員による人力作業
右 :土に埋もれた溝の復元
左 :11月18日には、地元テレビ局や新聞社が取材に訪れた
右 :復元された放棄地(東側の谷)
「行政の働きかけはもちろんでしたが、集落外の人との交流の中で、村人の意識が変わっていったことが、なによりでした。村を再生していく上で、担い手、特に外からの人材の活用がカギになると思います。今後は、ソフト面の支援をおこなっていきたい」(谷田直樹石川県能美市農政課課長補佐)
左 :再生が終わり、春を待つ農地。奥には養殖用の池ができている
右 :養殖用に作られた「池」
酒井悌次郎能美市長がクボタ機械サービス(株)金沢事務所を訪問し、お礼を述べた
融雪後、春には再生地を畑地に変え、東側の谷では、ホンモロコ、ドジョウの養殖と、マコモや山菜の栽培が始まる予定だ。西側の谷は市民農園にして、希望者に無料で貸し出される。農地の保全はボランティアが行っていくという。(みんなの農業広場事務局)
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