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2013年9月11日
くだものだもの、旬だもの
山田早織
旬・・・最近、いつが旬なのかわからないものが増えている。
でも、くだものは、わりと旬がはっきりしている。
産地や季節がわかりやすく、今は○○の季節だなって感じる瞬間が、野菜類より断然多い。
いちじくをほおばると、いちじくの独特の香りとともに、小学生の頃の夏休みにタイムスリップする。
ファーマーズマーケットがまだなかった当時、夏休みの朝は、農家さんがやっている青空市(朝市)によく出かけた。お盆のお花を買いにいったり、野菜等を買いにいったり。
母がいちじくを買って帰り、家で半分に割って、一緒にほおばって食べた。
休みだからと、どこかへ出かける家ではなかったので、あまりほかのことは思い出さないが(親におこられるかな)、朝市で買ったいちじくは覚えている。というか、いちじくを食べるたびに思い出す。
大人になって、いちじくのきれいな切り方を覚えた。でもやっぱり、台所の流しのところで、半分に割ってほおばってしまう。いちじくは立ち食い。
立ち食いといえば、桃もそう。
切り分けて残った種のまわりの部分を、流しでかぶりつく。
ん~!! ここだけでも最高。
それも、やっぱり、母がそうしていたのだ。
自分が母になってわかったことだけど、桃をむいて、切って、おいしいところは子ども行き。子どもが喜んで食べるから。
あぁ・・・そうだったのか。それでも母は満足そうだった。ちょっと切なくなる。
私は7月生まれ。母は桃を食べるたびに、「あなたを産んだとき、病室で隣だった人に、桃を一つもらったんだけど・・・その桃の皮が手でつ~っとむけて、おいしかったぁ~・・・」と言う。桃を食べるたびに思い出すんだろうな。そしてきっと、それ以上においしい桃は、この先見つからないんじゃないだろうか。
わたしも今年7月に子どもを産み、その後、桃をたくさん食べた。
これから先、母の桃の思い出と、自分の桃の思い出とをダブルで思い出すんだろうな。
それから、梨。
梨農家の友人が、マタニティーブルーで落ち込んでいる私に、せっせと梨とブルーベリーを差し入れてくれたのだ。ずいぶん心の支えになった。これから梨を食べるたびに、彼女の優しさを思い出すんだろうな。
イチゴは当時一歳の息子が大好きで、義理の母が亡くなったときに、親戚みんなにもらったことを思い出す。とても悲しい時だったけど、イチゴをあちこちでもらって満面の笑みを浮かべている息子に、みんな笑顔になったな・・・。
あげたらキリがないほどに、くだものの思い出はたくさんある。
毎日食べているくだものに、こんなにも思い出が詰まっている。
それを思ったら、なんだか幸せな気持ちになった。
毎日おいしい果物を食べられること自体が、本当に幸せなんだな。
作ってくれている農家さんに感謝!!
静岡県浜松市出身。フランス料理店に勤務後、23歳で起業した(有)しあわせ家族代表取締役、園芸福祉士。培養土、花苗・野菜苗の販売のほか、庭づくりや商店のディスプレー、野菜の宅配など、関心とニーズのある分野に事業とボランティアを展開中。