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2011年8月 2日
雑な草?
高見澤勇太
また今年も、草との戦いの季節がやってきた。
毎年、野菜の成長が早くなると、同時期に草の成長も早くなり、草退治のすきを突かれ、野菜を追い越し、草畑に変身してしまう。
人間の世界では畑に生える草のことを『雑草』と呼ぶが、彼らにとっては迷惑な呼ばれ方かもしれない。
実際に同じ草でも、野山に自生していれば山野草とよばれ、邪魔者あつかいはされない。
草のたくましさ。何度草取りをしても、また次の仲間たちが芽を出す。
同じ種類のものもあれば、季節によって草の種類が変わるものもある。
一見しただけでは種がどこにあるのか分からなくても、必ず2番手、3番手と芽を出し、後を絶たない。
違った角度から畑を見てみると、まだ作付けをしていない畑に草が生えると、草の勢いで畑の環境が分かる。
草がしっかり生えてこない畑は異常があり、草の色が淡い場所などは肥料分が少ない。
上農は草を見ずして草を取る
中農は草を見て草を取る
下農は草を見ても草を取らない
という言葉がある
上農の意味は「先を見る目があり、草を見る前に草が生えてこない状況にする」といったことだろう。
この言葉をもっと広い意味でとらえれば
「上農はどんな場面にあっても先を見る目を持ち、これから起こりうる事態の対処方法が分かる」
たぶん農業に関することだけではなく、人が生きて行く上でもこれができればパーフェクトな人生が送れるのであろう。
自分はと考えれば、どうも中農か下農に属すると思われる。
何かが起こってから「さあ、どうしよう?」と考える。
考えても答えが出ないと「まあ、どうにかなるさ」と開き直る。
自分が『草を取る人』になろうと思うと、うまくいかずいきづまる。
自分が『草になれば』何度でも再チャレンジができる。
今回“雑草”と言わず“草”と表記してきたのは、
今回ぐらいは、畑に生える“草さん”に雑な草と言わずにいたかったから。
みなさん、たまには草に敬称を付けて呼んでみてはいかがでしょうか。
ちなみに今回の写真に写っているのは
アカザちゃんと
シロザくんでした。
1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」