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2022年6月16日
「江戸東京野菜 その歴史と育て方や調理方法を学ぶ」に参加
~小平市上宿公民館事業企画 地域支援講座~
昨年の12月、NPO法人江戸東京野菜コンシェルジュ協会会長の大竹道茂先生から、「小平市の公民館主催の地域支援講座として、江戸東京野菜の講座を開催するのだが、調理のパートの講師を担当しないか」と連絡がありました。講座は全3回で、第1回が大竹先生による「江戸東京野菜の歴史を学ぶ」、第2回が小平市内で江戸東京野菜を栽培している農家の宮寺光政さんの圃場見学「江戸東京野菜の育て方を学ぶ」、そして第3回が私の「江戸東京野菜の調理方法を学ぶ」です。
先日、その第1回、第2回が開催されました。第1回目の会場は小平市の西の端にある上宿公民館、第2回目は公民館近くの宮寺農園で、私も参加者と一緒に聴講しました。
第1回目が開催された日は、あいにく朝から雨風の強い天候でしたが、定員の12名は全員が参加。江戸東京野菜への熱意を感じました。
大竹先生は江戸東京野菜の第一人者で江戸東京野菜の復活普及を行っており、講義は過去に何度も受講していましたが、今回興味深かったのは、江戸東京野菜をSDGs(持続可能な開発目標)の視点から見た話でした。
東京は、西には2000m級の山があり、奥多摩わさびなどが栽培されています。東の0m地帯では小松菜などの葉物野菜、そして遠く離れた小笠原諸島では亜熱帯の作物と、バラエティに富んだ作物が栽培されています。江戸時代には、参勤交代などの人の流れに乗って江戸にタネが持ち込まれたり持ち出されたりして、さまざまな品種が行き交い、また、江戸近郊で作られたという歴史があります。
このような東京の農業を守り続けることは、SDGsの目標1「貧困をなくそう」、目標2「飢餓をゼロに」の、安定した食料の確保が飢餓や貧困をなくすことに、また、目標3「すべての人に健康と福祉を」にもつながります。かつて伝統野菜の「ノラボウナ」が天明の大飢饉や天保の大飢饉から人々を救った、と言われているそうです。
農地があることで、目標15「陸の豊かさも守ろう」に、さらに目標14「海の豊かさを守ろう」も豊かな山の養分を含んだ水が海に流れていくことで、魚が育つ豊かな海が育まれます。
近年は、町おこしとして、その土地ゆかりの江戸東京野菜を栽培する地域も増えてきました。これは目標11「住み続けられる街づくりを」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に寄与しているでしょう。また、最近は自分の住む町の歴史や植物の生長、食育として江戸東京野菜を学習テーマにしている小学校もあり、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」にも一役買っているといえます。
このように、江戸東京野菜と東京の都市農業をSDGsの視点から考えてみる、よい機会となりました。
第2回は「江戸東京野菜の育て方」で、講師の宮寺光政さんの畑で話を聞きました。
畑にはちょうど旬の馬込半白キュウリが実っていました。「馬込半白キュウリは、大田区馬込で生まれたキュウリだが、生産販売をする農家がいなくなり、宮寺さんをはじめ数名の農家さんが栽培している」とのこと。
食感がよくおいしいキュウリですが、病気に弱く栽培に苦労すること、隣の畝で栽培している交配種のキュウリと交雑しないよう、早朝に受粉作業をしていること、それでも交雑してしまった「半白もどき」と「馬込半白キュウリ」の違いなどを説明してもらいました。
左 :第2回講座 馬込半白キュウリ
右 :第2回講座 馬込半白キュウリの雄花と雌花の説明
また、農園内には江戸東京野菜の「明日葉」が自生しており、勢いよく育っていました。以前、大島で見た明日葉とは随分様子が違っていますが、宮寺さんの明日葉は茎の部分を長く切って出荷しているので、「茎」をおいしく食べることができます。
次回の「第3回 江戸東京野菜の調理方法を学ぶ」では、この馬込半白キュウリと明日葉を使った料理を紹介する予定です。
野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。