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2021年8月17日
イマドキの宅配野菜
昨年から続くこのコロナ禍。なかなか収束が見えずに、もどかしく不安な毎日を送っています。東京では8月に入って新規感染者が急増しており、買い物にでかけるのも躊躇してしまいますが、こういった状況になったおかげで「宅配」という買い物への考え方が大きく変わりました。日用品だけでなく食材、特に野菜をインターネットで注文して購入することが多くなりました。
野菜の宅配は以前から大手業者が行っていましたが、決められた日時に定期的に購入しなければならず、自分の好みの野菜を選べないセットで届くものが主流でした。
しかし、この1~2年で登場した野菜の宅配サービスは、1点1点自分の食べたい野菜を選んでオリジナルのボックスを作ることができたり、自分が提示した金額に合わせて野菜のセットを作ってくれたりと、個人の好みに合わせたサービスが増えているようです。
また、既存のサービスのように業者から送られてくるのではなく、生産者から直接届くものも多くなったようです。あるサイトでは、登録された生産者のプロフィールが詳細に紹介されており、栽培方法や栽培する野菜へのこだわり、食べ方の提案などもあり、パソコンの画面を通して産地を訪れたような気分を味わうことができます。
最近、取り寄せた野菜の中で私が気に入ったものは、「食べチョク」というサイトで知った山形県飽海郡遊佐町にある「まえむき。FARM&SHOP」さん。2017年にこの地に移住してから耕作放棄地を耕し、伝統野菜と呼ばれる固定種の野菜だけを栽培しています。農薬、除草剤、化学肥料を使わず、鶏糞や牛糞などの動物性の有機肥料も不使用。耕作放棄地を選んで開墾するのも、土壌に以前使用されていた成分が残っていることを嫌って、という徹底ぶりです。米ぬか、油かす、枯れ草や野菜の残渣、切り出した竹をチップにしたものを発酵させた堆肥、植物からできる緑肥で土作りをしているそうです。
環境への配慮から、送られてきた野菜の包装にビニール素材のものはなく、新聞紙や漫画を切り取った紙で手作りされた袋で丁寧に梱包されていました。
今回の箱には、はぐらうり、浜黒ピー(黒いピーマン)、ステラミニトマト、泉州絹皮水ナス、白オクラ、そしておまけとして丸ナスが入っていました。どれも近隣のスーパーでは買えない野菜ばかりで、野菜好きにはワクワクする内容です。
同封されていた「野菜の紹介」にあったレシピ、中華風の「はぐらうりの煮物」がとてもおいしそうだったので、少しアレンジして酸味と辛味をきかせた「はぐらうりの酸辣煮」を作ってみたところ、暑い日にぴったりの味になりました。浅漬けやサラダで食べることが多かったウリですが、新たな発見になりました。
また、フリマアプリとして人気の「メルカリ」のサービス「メルカリShops」を利用して野菜を出品する人が増えていると知り、こちらでも頼んでみることにしました。
出品しているのはほとんどが個人の農家で、採れすぎて余った野菜や、形や大きさが規格外で通常の出荷ができないものが多いようです。生産者からの直送なので、鮮度のよい野菜が届くこと、疑問点などはメッセージ機能を使って事前に確認できること、さらに他のサービスに比べて安価なことも魅力です。ただし、一般の方が家庭菜園で作った野菜を出品するケースもあるようなので、出品者のプロフィールは事前によく確認する必要があるでしょう。
今回は和歌山県有田の、とある農家の野菜を取り寄せてみました。さすが有田で、数々の野菜に混じって、青みかんがたくさん入っていました。青みかんはそのまま食べるには適しませんが、ドリンクに加えたり、酢の物や焼き魚に絞ったりと香酸柑橘として重宝します。ちょっぴり個性的な形の野菜が送られてきましたが、鮮度は抜群。店頭に並んでいる野菜とは違った味わいでした。
東京では、まだしばらく続きそうな緊急事態宣言。今は遠く離れた生産者とオンラインでのつながりを楽しみたいと思います。
野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。