MENU
2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2018年2月19日
寒じめほうれん草の機能性と食べ比べ ~健康生活に役立つ青果物の機能性栄養学~
2015年4月に表示制度が始まった「機能性表示食品」。保健機能食品のように対象が加工食品やサプリメントだけでなく、生鮮食品にも表示が可能になるとして、話題になりました。今回、改めて機能性表示食品制度の概要と、現在、機能性表示食品の届け出に向け準備中だという、岩手県の寒じめほうれん草の機能性を知り試食が体験できる、勉強会に参加しました。
最初に岩手生物工学研究センターの矢野明先生から「機能性食品の基礎知識」について教えていただきました。
食品には、人間が生きていくうえで必要な栄養面としての一次機能、味覚や臭覚、視覚など感覚的な二次機能、疾患防止、免疫機能、老化制御など生体調節機能としての三次機能がある。同一の食品でもさまざまな機能性を持ち合わせているが、最近は「○○は××に効果がある」といった健康効果をうたう三次機能に注目が集まっている。その効果を表示するには「食品衛生法」に基づいて「特定保健用食品」、「栄養機能食品」、「機能性表示食品」の3種類の制度があり、それぞれ表示のために必要な審査や届出、表示できる内容がある。
その中で、「機能性表示食品」は、生鮮食品でも表示が可能で、現在、機能性食品として届出が認められているものは、骨の健康に役立つβ-クリプトキサンチンを含む「温州ミカン」と、同じく骨の健康効果が期待できる大豆イソフラボンを含む「大豆もやし」であり、商品のパッケージにその旨記載がある、などの内容でした。
続いて、医師であり、野菜ソムリエ上級プロの宮田恵先生からは「医療サイドから見た健康生活に役立つ機能性栄養学」として、予防医療としての食事の重要性、保険診療で受けられる食事指導の現状について学びました。中でも「サプリメントより、丸ごと野菜。薬やサプリメントに頼る前に野菜を食べる習慣が必要。そのために栄養素、機能性だけでなく、野菜のおいしさや魅力を伝えられるのは、野菜ソムリエではないか」という言葉が印象的でした。
食べ比べも用意されていました。機能性表示食品として届け出のためのデータを収集しているという岩手県の「寒じめほうれん草」(地域違いの2種)と、他県の「ちぢみほうれん草」を生とゆでの2種類で、味の違いを試しました。そもそも、「寒じめほうれん草」と「ちぢみほうれん草」の違いを分かっていなかった私には、栽培方法も勉強になりました。ほとんどの参加者が「寒じめほうれん草」を好みだと答え、甘味やえぐみの少なさに驚きました。
「寒じめほうれん草」は、おいしさだけではありません。目の健康に効果が期待できる成分「ルテイン」が一般のホウレンソウに比べて増えるといわれています。近い将来、「目の健康に! 岩手県産寒じめほうれん草」という商品を見かける日がくるかもしれません。
表示についての知識を深めることができましたが、食品は薬やサプリメントのように、単一の成分を補給するためのものではありません。バランスよい食事を心がけ、効果効能だけでにとらわれず、野菜・果物をおいしく楽しむことが健康への第一歩だと感じました。
このおいしさを多くの人に伝えたくて、岩手県から寒じめほうれん草を取り寄せて、料理教室で紹介しました。
野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。