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「野菜ソムリエ」の元気を作るおいしい食卓【47】

2017年11月16日

2017秋の野菜イベント


野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター 田代由紀子   


 毎年11月になると、秋の収穫を感謝する農業祭が週末ごとに各地で開催されます。
 最近は、食育や伝統野菜などのテーマがあるイベントやマルシェなども併催されるようになり学ぶことも多く、楽しみの多い時期となりました。
 今年は野菜関連、農業関連のイベントを訪ねました。


■もっと知りたいりんごの魅力発見セミナー ~青森りんごでカラダの中からキレイになろう~
 これからの季節おいしい時期を迎えるリンゴの機能性成分や、リンゴの品種による味の違いを学べるセミナーに参加しました。
 農業・食品産業総合研究機構 果樹茶業研究部門の庄司俊彦先生から「りんごの新たな可能性 りんごポリフェノール研究の最前線」と題した、リンゴに含まれるファイトケミカル、リンゴポリフェノールの研究状況について、お話を伺いました。


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ディスプレイ(左)と食べ比べ(右)

  
 現在、試験管、動物試験において、抗酸化活性、抗ガン・腫瘍活性、脂質代謝制御、高血圧予防、糖代謝制御、心臓・血管疾患、抗アレルギー・免疫、虫歯予防、皮膚(美白)・毛髪、アルツハイマー(神経)、抗加齢・老化といった分野で効果が期待できるという研究が行われています。
 中でも、脂質代謝制御、糖代謝制御、抗アレルギー・免疫、虫歯予防、皮膚(美白)・毛髪に関しては、ヒトでの試験も行われ、効果が期待できるとされているそうです。肥満と関わる糖代謝や脂質代謝は、リンゴポリフェノールに含まれるプロシアニジンという物質が、腸内環境によい影響を与えるという研究が進んでいるとのことでした。


tashiro_47_3.jpg 価格や手軽さから、海外の果物に押されがちな国内産のリンゴ。もっと食べて健康になりましょう! という趣旨のセミナーでしたが、やはり最後には「いろいろな食べ物をバランスよく摂取する」ことが健康のためだと締めくくられていました。
 リンゴの食べ比べやリンゴを使った料理の試食では、サンフジ、ジョナゴールド、王林、紅玉といったポピュラーなリンゴに加え、小ぶりで鮮やかな緑色のリンゴ「初恋ぐりん」も用意されていました。そのまま食べると酸味が強く感じられましたが、鴨やカリフラワーと合わせたサラダで食べると、さわやかな酸味と風味が生かされていました。全部で12種類も用意されたリンゴ料理を存分に堪能しました。
右 :「初恋ぐりん」のサラダ


■野菜を知る買う食う やっちゃば秋葉原 学べるマルシェ
 東京都青果物商業協同組合主催のマルシェを訪ねました。
 マルシェでは、東京の伝統野菜江戸東京野菜を始め、群馬県のネギ、茨城県のレンコン、長野県のリンゴやきのこ、山形県の里芋や焼畑で栽培されるカブなどが出品され、試食や販売が行われていました。
 ふだん購入することが難しい各地の伝統野菜について話を聞き、味わい、購入できるとあって、会場はとてもにぎ わっていました。私も江戸東京野菜の一つ千住ネギ、山形の藤沢カブや角川カブを購入し、自宅でゆっくり味わいました。


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 「学べるマルシェ」として開催された「野菜摂取量とガンの関係~データの真実と読み解き方~」にも参加しました。
 国立がん研究センターの山本精一郎先生の話は、食にまつわるさまざまな情報の受け取り方についてでした。近年食品に含まれる栄養素や機能性ばかりが取り上げられ、「●●は××に効きます」といった情報が氾濫しているが、きちんとしたデータに基づいているのか、信頼できる研究方法とはどういったものなのかなどを、わかりやすく説明いただきました。


 さまざまなガンのリスクと部位の関連性については、国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センターのホームページで検索できるとのことでしたが、野菜を含めバランスのよい食事の摂取は、ガンの予防法の一つであることは間違いないようです。


 いずれのセミナーでも、野菜や果物の栄養素とその効果効能について学びましたが、そればかりにとらわれず、野菜・果物をおいしく楽しむという気持ちを忘れてはならないと、改めて感じました。

たしろ ゆきこ

野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。

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