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「野菜ソムリエ」の元気を作るおいしい食卓【23】

2015年11月24日

江戸東京野菜の「青茎三河島菜」「亀戸大根」を訪ねて    

野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター 田代由紀子   


 冬野菜のおいしい季節になりました。四季のある日本では、その季節ごとの野菜を楽しむことができます。特に伝統野菜と呼ばれる野菜は栽培される期間が限定され、より「旬」を感じることができる野菜です。

 今回は、西東京市で東京の伝統野菜「江戸東京野菜」を数多く栽培している矢ヶ崎農園さんへ伺い、冬野菜の「青茎三河島菜」と「亀戸大根」の圃場を見学させていただきました。


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青茎三河島菜(左)と亀戸大根(右)


 徳川家が江戸に幕府を開いた頃に三河国(愛知県)の農民が江戸に移り住み、その土地を三河島(現荒川区)と名付け、そこで栽培されていたのが「青茎三河島菜」といわれています。昭和初期まで栽培されていましたが、結球白菜が多く出回るようになり、東京から姿を消してしまったとのこと。近年の調査で参勤交代の足軽により種が伊達藩に渡り、「仙台芭蕉菜」として残っていることがわかり、百年の時を経て復活したというロマンあふれる野菜です。


tashiro23_image3.jpg 青々として、70cm近くもある大きな野菜。当時は主に漬菜として食べられていたようですが、葉も茎も柔らかくてアクも少ないので食べやすく、いろいろなジャンルの料理に取り入れやすいと思います。


 「亀戸大根」も、同じく江戸の頃から盛んに栽培されていた野菜です。現在の江東区亀戸を中心に栽培が盛んだったことから、明治になると、その地名をとって亀戸大根と呼ばれるようになりました。30cmほどの小さなダイコンで、根がひときわ白く、葉の茎も真っ白いのが特徴です。春先の青菜が少ない時期に葉ごと漬物にして、江戸っ子たちが好んで食べていたそうです。


tashiro23_image1.jpg  姿形の美しい亀戸大根を手にした矢ヶ崎さん(右)に、理想の形や大きさについて教えてもらいました。大きくなってしまった大根はどうするのか尋ねてみると、「大きくなると白くスが入ってしまうので、処分するしかないんだよ」。適切な大きさで出荷できるように、日をずらして栽培しているとのことでした。

 果肉が緻密で水分が少なく、ダイコンというよりカブに近いなめらかな食感は、生でよし、煮てもよし、炒めてもおいしくいただけるダイコンです。


 分けていただいた青茎三河島菜と亀戸大根は、こんなお料理で楽しませてもらいました。


【青茎三河島菜と仙台麸の卵とじ】
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仙台帰りの青菜ということで、仙台の油麸を使って卵とじに。


【ロール青茎三河島菜】
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大きな葉を使って、ひき肉と玉ねぎで作ったタネをくるくると巻いて。


【亀戸大根のグラタン】
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輪切りにした大根と、ざく切りにした葉をたっぷり使ってグラタンに。


【亀戸大根と桜エビの炒め煮】
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薄切りの大根と細かく刻んだ葉をごま油で炒め、桜エビを加えて煮物に。

たしろ ゆきこ

野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。

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