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2014年8月18日
大地の恵みと風土が育てる新たな農地
先日、北陸を旅行してきました。今回の旅の目的は、日本海のおいしい海の幸を堪能すること。そして、もう一つは石川県・富山県の圃場を見学させていただくことでした。
今回訪ねた石川県能登島の「農事組合法人ラコルト能登島」さん、富山県氷見市の「SAYS FARM(セイズファーム)」さんは、どちらも耕作放棄地を開拓し畑作りを行っています。新しい畑ができることで、人がつながり、土地の食がつながる。野菜や果樹を育てることで新たな文化が生まれる。そんな素敵な農場をご紹介します。
●石川県能登島 農事組合法人ラコルト能登島
イタリア語で収穫物という意味の「ラコルト」。平成22年秋、能登島の休耕田や島内の耕作放棄地の現状を把握し、島内に存在する休耕田や遊休農地などの土地の再生及び解消に向けた活動が、ラコルトの始まりです。収穫したコシヒカリは「能登島向田ほたる米」と名付け、ズッキーニやイタリアナスの王様「フローレンスパープル」、黒キャベツなどのイタリア野菜の栽培、イタリアやスペインのオリーブの苗木を育てています。
「ここに農地があれば、働く場所があれば、UターンやIターンで町の若者が戻ってくる。そのためにも農地が必要なんです。」案内してくれた洲崎さんはそう語ってくれました。
平成24年に始まった『ならんこともないやろ能登島にオリーブproject』は、能登島をオリーブの島にしようと、オリーブの苗木をオーナー制で募りました。海の見えるオリーブ畑にみんなで植えたオリーブは、苗木の一本一本が島の人たちと外の人たちをつなぎ、交流の輪を広げています。
入籍を済ませたばかりの新婚夫妻がその足で記念として苗木を植えに来たり、実家のお母様を亡くしてしまった女性がいつでも故郷を訪ねられるよう、故郷とのつながりを求めてお母様の名前の入ったプレートを下げた苗木を植えたり。このオリーブ畑には、素敵なストーリーが山ほどありました。
今年は収穫したコシヒカリで作ったお酢の販売も始めるなど、農業だけでなく、夢のある事業が次々に始まっているそうです。
●富山県氷見市 SAYS FARM(セイズファーム)
センスのよい案内板を頼りに小高い山へ車を走らせると、目の前に広がる一面のブドウ畑。その先には富山湾と立山連峰が広がる絶景の地に、セイズファームはありました。
真夏の太陽のもと、数人のスタッフの方がブドウの木の手入れを行っていましたが、「何人かは、魚の加工の人が手伝いに来てくれているんです」と、ブドウの栽培・醸造担当の田向さん。「魚の加工?」と不思議に思っていると、「ここは氷見の老舗の魚問屋が手がけた新しい事業なんです。氷見の魚に合うワインを作ろうと、この農園が始まりました」とのこと。
山をひらき、自分たちの手で一本一本苗木を植え、氷見の土地に合う品種とは? 栽培方法とは? さまざまな試行錯誤を繰り返し、自社のブドウのみでワインの醸造を行っています。ブドウの摘み取りからワインの打栓まで、すべて手作業のこだわりのワインです。
敷地内にあるハーブ園には40種近いハーブが植えられていましたが、こちらもすべて、一つ一つが手作り。できるだけ薬は使いたくないと、除草のために可愛いヤギが飼われており、いたるところに農園の方々の愛情があふれているようでした。
併設のショップ&レストランではワインとともに氷見の海の幸、山の幸を楽しめ、氷見の人気スポットになっているそうです。今回は残念ながら、ゆっくり食事をすることができませんでしたが、旅の思い出に買ったワインが家に届くのが待ち遠しいです。
野菜ソムリエ・アスリートフードマイスター。「楽しく、美味しく、健康な生活を!」をコンセプトに野菜についてのコラム執筆、セミナー開催、レシピ考案などを行っている。ブログ「最近みつけた、美味しいコト。。。」で日々の食事メニューを発信中。