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2011年10月31日
意外なものが売れるのだ
全農肥料農薬部 資材店舗推進室 駒谷 行雄
まだ農産物直売所は伸びる
「地産地消」という言葉は、昭和59年ころにはすでに使われていた記録があります。意味は、「地元で作った農畜産物を地元で消費する」ということです。
2011年7月に発表された「農産物地産地消等実態調査」によれば、農産物直売所は全国に1万6816カ所あることになっています。その売上高は、8767億円となりました。国内で流通している野菜と果物は、消費者購入ベースで10兆円程度だといわれます。そうだとすれば、農産物直売所のシェアは9%ということになります。つまり、残りの91%は、スーパーマーケットか八百屋さんで売っているわけです。ですからまだまだ、農産物直売所が伸びる余地はあると思います。
一方で、食料品を運んだ距離とその重量の積を、「フードマイレージ」といいます。数値が大きいほど燃料をたくさん消費したことになり、地球温暖化につながるというわけです。日本は世界ナンバーワンで、アメリカの3倍です。一人あたりにすれば、7倍です。地産地消を進めなければならないと思いますよね。
右 :みずほ米(茨城 みずほの元気村) 個人個人が工夫して米を売っている
何を売ってもよい
だから、私は「農家は心配しないで、よいものをたくさん作ってください」と言っています。
農産物直売所の開設をお手伝いしていて、いつも感じるのは、農家の皆さんが遠慮深いということです。「こんなもでも売れるのかしら」「田舎料理で口には合わない」「これは家で食べるためのものだから」などなど。
農産物直売所では何を売ってもいいのです。これまでのように、市場の求める「規格品」である必要はありません。少し例を挙げましょう。
一番売れるのは、熟れすぎた(売れ過ぎたではありません)トマトです。市場に出そうと思ってもはねられるか、2級品でたたかれるものであっても、樹上で完熟したトマトは、今日食べれば最高においしいのです。
干し柿を作るときに、皮をむきますね(当たり前か)。その皮を捨てていませんか。白菜や大根の漬物に一緒に入れると、甘みが出ておいしくなります。また、皮を干しておき、魚を煮るときに一緒に入れると、柿の甘さがほどよく作用して、甘みのきいた、おいしい煮魚になります。皮を乾燥させ袋に詰め、このことを説明した紙を入れて売るのです。もちろん干し柿も売ってくださいね。
桑の葉っぱは、てんぷらにすると最高です。養蚕が盛んな地方の農家は、みんな知っています。それをお店で売ればいいのです。
左 :山形あけび(山形 紅の蔵) あけびも売れる、ただしこれは栽培したもので、皮のほうを食べる
雪国では白菜や大根を雪の下に埋めて保存食としています。甘くなるのですよね。どんどん農産物直売所に出して、売ってしまいましょう。春先自分の食べる分がなくなることが心配ですか? 売ったお金で買えばいいじゃないですか。余って、腐ってしまう可能性だってあるのです。売れるときに売りましょう。(つづく)
全農 肥料農薬部 資材店舗推進室勤務。
昭和46年、全購連(現全農)に入会、農業技術センター農薬研究部に配属。平成5年から資材部で全国100店舗近くの立ち上げ運営支援、店長教育等に係わってきた。農林水産省「地産地消の仕事人」、JA地産地消全国協議会専任アドバイサー。著書には「農産物直売所の繁盛指南」(創森社)等がある。