提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ
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栃木県真岡市のたまねぎ生産は、国の野菜指定産地となっており、栽培面積、出荷量ともに県内有数の産地である。しかし、生産者の高齢化によりたまねぎの定植、拾い上げ等の収穫作業の負担が課題となっている。このため、一部の生産者は、半自動移植機を導入するなどの対策を始めたものの、依然として大半は手作業で行われており、機械化による省力的な栽培体系は普及しておらず規模の拡大が進んでいない。
そこで、面積拡大による産地づくりを推進するため、全自動移植機導入に向けたセル育苗技術と定植から調製作業までの効率的な作業体系を確立し、生産者の労力軽減を図る。本実証調査において機械作業による軽労化評価を行い、経営的特徴を明らかにすることとした。
●栃木県真岡市
真岡市は栃木県の南東部に位置し、東方に八溝山系があり、利根川水系(鬼怒川・小貝川・五行川など)の豊富な水に恵まれた地域である。平均降水量は1275.9mm、年間平均気温は13.0℃(真岡観測地点1981~2010年)で、農業生産に適した気候である。
交通は、東京から100km圏内に位置し、国道4号・294号123号等の幹線国道、それらを結ぶ主要県道、さらに、北関東自動車道の開通による東北自動車道・常磐自動車道とのアクセスが確保されたことに伴う輸送時間の短縮化など、流通基盤は整っている。
農業生産の動向については、県内でも有数の農業地帯であるが、農家数・栽培面積とも減少傾向にあり、生産者の高齢化が進んでいる。園芸作物については、日本一のいちごを始め、なす・トマト・なし等多岐にわたり、生産額は増加している。
播種 | 能率と効果 |
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![]() 全自動播種機 ![]() 播種精度の確認 |
・慣行の播種(ごんべえ使用)で、のべ作業時間3.0時間だったものが、全自動播種機利用では1.6時間と、短縮された。 ●型式 全自動播種機(OSE-10A) |
(写真・図をクリックすると拡大します)
1.実証区は、セル育苗+全自動移植機(マルチあり)+収穫調製作業の機械化、慣行区は、地床育苗+半自動移植機(マルチなし)+手作業による収穫調製とした。
2.セル育苗では育苗中の乾燥等により2割程度の欠株が発生し、定植後の補植作業に10.4時間/10aと多くの時間を要した。
3.可販収量は、実証区で一球重が重かったため、慣行区よりも46%多かった。慣行区ではマルチがないため定植後の乾燥の影響を受けたこと、雑草の繁茂により球肥大が悪かったことから、収量が実証区よりも少なかったと考えられた。
表1 移植時の苗質調査
表2 収量・品質調査
上段:慣行区、下段:実証区
4.実証区では、定植、収穫、調製作業において多くのたまねぎ用の機械を要し、減価償却費が増加したが、80a以上の作付面積で経営的メリットが得られると試算された。
5.作業時間は、実証区で97.2時間/10a、慣行区で143.0時間/10aとなり、時間を32%短縮でき、軽労化も図ることができた。
図1 作付面積の変化による軽労化の効果について(1.1haまでの場合)
※実証体系Pとは、労働強度の軽労化を金額に換算し算出したもの
図2 作業時間(時間/10a)