提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ
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宮城県加美郡加美町は、隣接する色麻町とともに、地域重点振興品目としてたまねぎを選定しており、出荷額が県内第一位の産地となっているが、近年生産者の高齢化等により、栽培面積や生産量が年々減少している。新規作付者の定着や規模拡大を阻んでいる主な原因は、移植及び収穫・調製作業の労働負荷が大きいことであり、雑草対策を含めた労働負荷軽減に関する早急な問題解決が求められている。
そこで、機械利用による雑草対策と収穫調製時の労働負荷の軽減を目標に、除草機やマルチを利用した効果的な除草体系の構築と、手作業に頼っていた収穫・調製作業の機械化及び機械導入による省力・軽労化効果を検討し、さらに経営的な特徴、優位性についても明らかにすることとした。
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品種 :ネオアース
作型 :播種:8月下旬、移植10月下旬、収穫6月下旬
栽培様式:4条植え
うね幅 :150cm、株間11.2cm
10a当たり約22,000株
●試験区の構成
実証区1:黒マルチ+収穫調製作業の機械化
実証区2:除草剤+機械除草+収穫調製作業の機械化
実証区3:除草剤+収穫調製作業(手作業)
※1 試験ほ場では、約3m間隔に弾丸暗渠を施工し、排水対策を実施した
※2 いずれの区も鶏ふん650kg/10a投入(9月16日)
移植 | 能率と効果 |
---|---|
移植作業 |
作業時間は、0.8時間/10aとなった。 移植作業精度調査(%) ●型式 移植機(OPK4) |
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1.実証区1および実証区2の雑草抑制については、それぞれ効果が見られた。
2.総収量は実証区1で最も多かったが、乾燥による球表面のやけ、皮の割れが多く発生したため可販収量は最も少なかった。実証区2は総収量で3,727kg/10aとなり、慣行とほぼ同等で、可販率が高く可販収量は最も多くなった。慣行区では雑草の繁茂により球肥大が悪く、1球重が軽く可販収量が少なかった。
※反収は1区1㎡として2反復の調査をおこない、10a当たり22,000株として換算した。
3.実証区1と実証区2の体系に要する経費は、マルチ利用により資材費分の経費が増加するが、除草に要する労務費と、除草機などに要する減価償却費が減少し、機械除草体系よりも生産コストは低減できた。売上高は、慣行区に比べて実証区1が114,739円減、実証区2が28,772円増加した。検討した2つの除草体系では経費、販売高の面
から、除草機を利用した体系が効率的であると考えられた。
4.収穫調製作業の機械化により、慣行の労働時間104時間/10aに対し、収穫機を利用した実証区2(機械除草区)では62時間/10aまで削減された。生産コストは、慣行(手作業)の97円/kgに対し、実証区が81円/10aとなった。コストを低減し、労働時間を短縮することで、取り組みやすい機械化栽培体系として提案できる。
※各項目に対して慣行区より劣る:△、優れる:○、最も優れる◎ とした
●今後の課題
1.そろいの良い均質な苗の生産のために、育苗部分の技術的な指導を重点的に行う。
2.機械化体系による省力・軽労化についてまとめ、情報提供を行って機械化体系の定着と作付面積拡大を図る。
(平成26~27年度 宮城県農業振興課普及支援班、大崎農業改良普及センター)