提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


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全国農業システム化研究会|提案一覧


野菜

サトイモの機械化一貫体系 (福岡県・平成20年度)

背景と取組みのねらい

 法人経営(集落営農組織)において、サトイモの安定生産を省力、低コストで行うため、効率的な機械化一貫体系を構築する。
 
1.経営的なねらいと対応策
 機械化による労働時間の短縮と、作業負担軽減や経営効果について検討する。

2.技術的なねらいと対応策
 畦立て、種入れ、マルチを同時に行える種いもプランタ、マルチはぎ機、掘取機、子いも分離器、根取り・選別機を導入し、省力化、軽労化について検討する。

3.地域的なねらいと対応策
 集落営農組織への園芸作物導入を推進しており、組織の保有する機械の有効利用を図りながら機械化一貫体系を構築し、園芸作物を効率的に導入する。 

実証した作業体系


能率と効果

1.畦立て・種入れ・マルチ 能率と効果
 
種いもプランタ

1工程で畦立て、種入れ、マルチの3作業を行える。植え付け精度は良好で、作業時間は10a当たり3.7時間。植付後に萌芽してくるとマルチに穴を開ける作業が必要だが、延べ作業時間は12.5時間(10a当たり)で、慣行の約7割となった。  

●型式 :
TFP-100M

●仕様 :
適応トラクタ 15~20PS
畦間隔 85~120cm
植付けピッチ 
 15・20・25・30・35・40・45cm
種芋収容容量 80L
適応フィルム幅 95~135cm


2.マルチ剥ぎ 能率と効果
 
マルチはぎ機

スムーズに回収でき、作業精度は高い。作業時間は10a当たり0.4時間で、手作業の1割程度に短縮された。

●型式 :
DR-202

●仕様 :
適応トラクタ 13PS以上
作業能率 20~40 分/10a
適応マルチ 全面・普通


3.掘取り 能率と効果
 
コンベア式掘り取り機
 
作業精度は良く、イモが損傷を受けることもなかった。作業時間は10a当たり2.6時間で、手作業の1割程度に短縮できた。

●型式 :
BL-55

●仕様 :
適応トラクタ 13~16PS
作業幅 55cm
作業溝 10cm
作業速度 1~2 km/h
作業能率 74~146 分/10a


4.子いも分離 能率と効果
 
子いも分離器

金属製の突起がついた道具で、掘取った株の親いも部分を子いも分離器の突起部分に打ち付ける。子いもの損傷はほとんどなかった。作業時間は、10a当たり39.0時間で、従来の手作業の8割程度となった。



5.根取り、選別 能率と効果
 
根取り機


選別機

2つの機械を連結することで2作業を流れ作業で行うことができた。作業精度は良く、イモの損傷もなかった。作業時間は、10a当たり13.5時間で、手作業の約3割に抑えられた。

成果

●機械導入によって減価償却費が増加するが、労務費が削減されたため、生産原価はほとんど変化せず、事業利益は慣行栽培と同等であった。また、作業が軽労化され、さらに少ない面積での事業利益が見込める。
●集落営農法人における野菜の導入事例として、他の法人等への働きかけを行う際、モデル事例として情報提供し、集落営農組織への野菜導入を推進する。

対象場所

前原市蔵持(まえばるしくらもち)

 

 前原市は福岡県の西部に位置し、福岡市のベッドタウンとして都市化が進んでいるが、市の中央部を走る国道やJRを挟んで、北部と南部には農村地帯が拡がっている。

 農業は米をはじめ、イチゴ、トマトなどの施設野菜や、キャベツ、ブロッコリーなどの露地野菜の産地化が図られている。
 また、近年は集落営農組織ができ、園芸作物導入が進められている。

(平成20年度 福岡県福岡地域農業改良普及センター)