この度、このコーナーを書かせて頂くことになりました青森県の普及指導員(普及員)です。
私の主たる業務は、通称「地域経営」と呼ばれる、一言で言えば「農業サイドからアプローチする地域おこし」という感じでしょうか。農村なので農家が多いですが、農家だけで構成される地区というものは現実にはありません。そんな訳で、農家だけでなく地域の自営業者やサラリーマンなんかも巻き込んで、
「俺たちの苦労は、20年後の子供達がきっと評価してくれる。過疎化にも少子高齢化にもめげず、みんなで素敵な未来を築こう!」
と、煽っています。
しかし普及員一人が集落座談会に入ってそんな事を言っても、「あいつ何しにきたんだ?」「お役所がなにか夢みたいなこと言ってるぜ」と冷ややかな目で見られるだけです。
そこで青森県では、県(普及員)と住民の間に入って双方を調整する「中間支援組織」という団体を挟んでいます。だいたいは、地域おこしを得意とするNPOとかが担っています。
さて、令和4年の4月に私が「地域経営」なる業務を担当し、まず取りかかったのは、中間支援を引き受けてくれるNPOを探すことです。それまでも様々なところから、そのような団体を紹介されたのですが、どうも私のイメージに合いません。どの団体も、真面目でおとなしいのです。地域おこしに必要なのは、夏の夜空を焦がす立佞武多のような熱い男です(女性も大歓迎)。
ここは大事なところなので、そう簡単に妥協せず、事業の趣旨を方々で説明して歩き、多くの人々に「こんな人を探しているんだよー」と「人捜し、団体探し」をお願いして歩きました。
・・・すると、いるじゃないですか!やっぱり!
その団体の名は、NPOジャズネットワーク(音楽を活用した地域おこし団体)。初めて会ったリーダー河端氏の風貌は、一発で「タダモノデハナイ」と私に直感させました。無精ひげを生やし、鋭い目と貫禄バッチリなお腹をした男性です。
その夜は、彼や彼を慕うメンバーと時間を忘れて「地域とは・・・」「町とは・・・」「生まれ来る子供達のために、俺たちは今何をするべきなのか・・・」なんて話していると、なんとメチャクチャに目標が一致しているじゃないですか!
夜なので当然のごとく委託契約どころか、直属の上司の了解さえとっていないのですが、私は彼にいいました。
「河端さん、俺は絶対にあんたと組みたい。」
そして、河端さんも
「俺も、変わった県職員のあんたとなら一緒にやる!」
と、まるで青春ドラマのような熱いシーンを経て、青森県のおっさん二人は「地域おこし」のために、何も知らず一緒に五所川原市のある集落座談会に飛び込むことになるのです。
※もちろん、委託契約等、真面目な手続きを踏んだ後ですよ。
しかし、座談会で待っていたのは、大人の社会でいう「現実」だったのです。
to be continued.
青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。
プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。
加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。