山形県
深瀬庸之
深瀬庸之
山形県村山総合支庁産業経済部北村山農業技術普及課で、おもに、畜産全般と大石田町の地域づくりを担当しています。管内は、総称「山形牛」の大きな産地で、高級和牛生産の支援に加え、繁殖牛の増頭支援に取り組んでいるところです。また、明日の地域づくりについて、農用地利用改善団体や、集落営農組織の方々と共に悩みながら、今後の方向性等を検討しています。
2010.08.10
今回は大石田町の特産であるスイカの話題をお届けします。
大石田町の特産品であるスイカは、甘くておいしいと全国的に知られています。大石田町スイカオーナー会(実行委員長:阿部孝義町長、事務局:町産業振興課内)は、このおいしいスイカを都会の方にも食べていただき、さらに、作業も体験していただきたいという願いから、「スイカオーナー制度」をおこなっています。
今年で13年目を迎えますが、参加者には好評で、リピーター12回の方もいらっしゃいます。オーナー1口(スイカ苗1株)の申し込み料金は3,000円です。
今年は5月2日に苗を植え付け、担当農家(芳賀哲雄氏)の丹精込めた手入れもあり、甘くてみごとな大玉スイカに仕上がりました。
今年の収穫イベントは、おなじみの深堀ふれあい農園を会場に、7月31日から2日間開催されました。
炎天下にもかかわらず、126名のオーナーとその家族等が収穫を体験し、「オーナー気分」を満喫していました。オーナー1口につきスイカ2個を収穫し、さらに1個が担当農家からプレゼントされました。
左 :オーナー代表も加わりテープカット / 右 :各オーナー名を確認して収穫
左 :スイカ食べ放題コーナー / 右 :抽選会景品の一つ「盆栽スイカ」
このほかに収穫イベントとして、抽選会やスイカ割り、種飛ばしゲーム、スイカの重さ当てクイズ、スイカと漬け物の食べ放題コーナーなどお楽しみが多数準備され、料金以上の満足感のあるスイカオーナー制度でした。中でも小学生対象のカブトムシ抽選は人気の的で、当たった子供さんは大喜びのようすでした。
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2010.07.28
東根市六田地区にある紅花畑では、見ごろを迎えた紅花が、ところ狭しと咲き誇っていました。このところの高温の影響もあり、収穫適期は予定よりも1週間早くなったということです。
この日は、東根市立東根中部小学校の4年生が収穫に来ていました。
実はこの紅花は、児童たちが「紅花栽培体験学習」として播種したものです。紅花の根元のラベルには、播種した児童の氏名が書かれています。
各自それぞれの位置につき、「風に揺らぐ紅花 六田宿」の関係者や引率の先生から指導を受けながら、さあ! 摘み取りの始まりです。
さて、「まゆはきを 俤(おもかげ)にして 紅粉(べに)の花」は、松尾芭蕉が奥の細道の道中、山寺立石寺への途中に詠まれた有名な句です。また、県内で同じ紅花を詠んだ句として、「行く末は 誰が肌ふれん 紅の花」が知られています。
紅花は江戸時代本県の特産物として最上川から日本海を経て京に運ばれ、高価な京紅の原料となっていました。
紅花を摘むのは貧しい娘たちで、紅花のとげの痛みに耐えながら摘んでいたことでしょう。「一生使うことがないかも知れない高価な紅を、どのような女性(ひと)がつけるのだろうか、自分もいつかつけてみたい」などと思い描きながら、辛い作業に耐えていたんだろうなと、はるか昔の花摘み娘たちに思いをめぐらせた次第です。
現代の子(娘)たちは、何を思いながら紅花を摘んだのでしょう。ドライフラワー用に根元から鋏で切っていましたが・・・。
左 :今年のできはいかが? / 右 :とにかく暑い! 日でした
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2010.07.13
当北村山農業技術普及課は、村山総合支庁の北庁舎3階にあります。
このたび、北庁舎の恒例行事の「北庁舎ふれあいデー」が開催されましたので紹介します。
「北庁舎ふれあいデー」は、北村山地域の農林産物や加工品等をPR販売するとともに、管内福祉施設で作られた授産品を展示販売することなどを通じて、北村山地域の住民の方々との交流を促進し、地域の活性化を図ることを目的に行われています。
今年は7月8日(木)に、北庁舎1階ロビー周辺を会場に開かれました。
内容は、北村山地域の農林産物及び加工品等(野菜、山菜、わさび、惣菜、漬物等)のPR販売、生産者の情報や直売情報の発信、林産物・木製品等の展示販売、管内福祉施設等で作られた授産品の展示販売、そして、北庁舎の事業(雪プロジェクト)等の紹介です。
当課の関わりの深いところでは、「きたむらやま産直組織ネットワーク」に所属する「新鮮!木曜市」、「花笠産直」、「まごころ広場」等の産直組織の出店がありました。
右 :元気はつらつな「きたむらやま産直組織ネットワーク」のメンバー
山形の風物詩である紅花、尾花沢市で生産された大豆を原料にしたおぼろ豆腐、農家のおかあさん自慢の大福、季節の夏野菜等々が存在感を示していました。
当課のコーナーでは、今秋デビューを迎える本県育成の水稲新品種「つや姫」のPRを行い、農事相談も受け付けました。
当課の農事相談コーナーは「つや姫」一色。パネルの着物姿の女性は本県の吉村知事です
この催しは年に2回予定されており、次回は10月14日(木)を予定しています。
2010.05.12
痛ましい農作業事故は、依然として、毎年全国で発生しています。
農業者の高齢化、農業機械の大型化や多様化が進む中で、「農業機械の転落・転倒事故」が死亡事故の原因の3分の1を占め、さらに70歳以上の農業者の割合が5割を超えています。
県内の発生件数は減少しているものの、これと同様な傾向にあり、とくに、春の農繁期には、トラクターの転倒等を原因とした重大事故が発生しています。
そこで、事故防止の啓発を促す統一的な運動を、今年も県内全域で実施することになりました。
当管内の関係機関・団体は、県の農作業事故防止運動にあわせ、「北村山地区春の農作業事故防止運動」を展開します。
実施主体は当農業技術普及課と、北村山地区農業機械士会です。
「水稲春季作業(耕起から田植え)等における農業機械の転落・転倒事故の防止」を啓発テーマに、4月10日から6月10日まで、広報巡回、事故防止啓発のぼりの設置などを行うことにしています。
4月20日には出発式を行いました。関係者の決意と意識を新たに取り組んでいます。
2010.02. 1
「総称 山形牛」が米国向けに輸出されることになり、生産者である(有)スカイファームおざきの大木沢農場(尾花沢市名木沢)にて、1月26日出発式が行われました。
あいさつに立った尾崎勝代表取締役は、「現在肉用牛の価格は、不況の影響もあり低迷している。安全でおいしい山形牛を輸出することは、今後の販路拡大や宣伝効果が期待できる。何よりも、生産者の励みになると思う」と期待を寄せていました。
出荷された肥育牛は、生後30カ月令、体重681kgの雌牛1頭です。米国への輸出認定を受けている、群馬県食肉卸売市場で解体された後、ロースやヒレの部分約60kgがロサンゼルスに向けて送られるとのことです。
「総称 山形牛」は、平成13年8月までシンガポール、香港、台湾に輸出されていましたが、国内でBSEが発生したことにより中断していました。このたび、全国農業協同組合山形県本部が、山形肉牛協会の委託を受け、関係機関・団体と輸出に向けて協議を重ね、正式に輸出が許可されました。
今後の米国向け輸出は2カ月に1頭の見通しですが、富裕層の多いマカオに向けた輸出にも、本格的に取り組むとのことです。
約9年ぶりに輸出が再開されることに際し、BSE発生直後から国内牛肉の販売が振るわず、肉用牛生産者や関係者の方々と、苦悩の日々を過ごしたことが思い出されます。苦難を乗り越えてきた生産者の方々を思うと、海外での高い評価と大きな宣伝効果、さらには販路拡大につながることを願ってやみません。