徳島県
吉原 均
吉原 均
徳島県美波農業支援センターの吉原均です。野菜・作物担当で「きゅうり」、「いちご」、「水稲」、「藍」を担当しています。
2011.03.10
先日、促成きゅうりハウスで今シーズン初の天敵放飼が行われ、私も作業体験してきました。
当管内では、ミナミキイロアザミウマやコナジラミ防除にスワルスキーカブリダニを利用する農家が少しずつ増えてきています。この日放飼作業された農家は、みなさん天敵利用は始めての方ばかり。
「こんな感じでいいの?」
「いやー私も初めてなんで(笑)」
とか言いつつ、思ったより短時間で作業終了。
左 :作業は簡単。ちょいちょいっと葉の上に落とすだけです。ちなみに作業者は私
右 :こちらは実施農家の奥様。茶道のお点前を見るかのような、丁寧なお仕事です!
「ご感想は?」
「最初は同じ量でできてたけど、最後はなんやらよう分からんようになったわ!(爆笑)」
「そーですか。まぁ、大丈夫でしょう!」←無責任
こんな感じでスタートした天敵利用。スワちゃんには大活躍していただきたいものです。
2010.10.27
先日、新規就農希望者を農家が研修生として受け入れるプログラムの一環で、きゅうり農家で研修が行われました。
この日は「定植」と、大きくなったきゅうりの茎に、上から垂らした紐を結んでつり下げる「誘引」を体験しました。何を隠そう、私も初体験(きゅうり担当なのに・・・)。
さて、定植は何とかクリアできましたが、誘引はかなり大変でした。柔らかな茎は簡単に折れてしまいそうで、おっかなびっくり、紐を結んでいきます。
左 :定植後、少し大きくなったきゅうり。誘引にはまだ早いのですが、研修のために特別に作業させてもらいました
右 :受け入れ農家の奥さまに教えてもらいます。慣れた人がやると、何でも簡単そうに見えるんですよね・・・
研修生 「手先が器用でないと、なかなか難しいですね・・・。」
私 「そうですか? 結構慣れてきましたよ~」←実は必死
しかし、中腰の作業はやはりキツイ! 30分も経たないうちに「ウッ、こ、腰が・・・」。受け入れ農家さん爆笑。という具合でした。
研修生の方は、今後数回に分けて「整枝」や「収穫」といった、実際の作業を体験してゆく予定です。
左 :いざ、挑戦! 「・・・・・・。」 しばし静寂の時が流れました。この中腰がキツイ!
右 :1本も犠牲にすることなく、なんとか出来ました!
2010.09.22
今回も「海部の藍(あまべのあい)」関連です。
先日、地元女性グループの役員会が行われ、そこで交流イベントとして「藍の生葉染め」を指導することになりました。新鮮な藍の葉と水だけで絹やウールを美しく染められる、とってもエコな染色方法です。
ちなみに、普通の藍染め(発酵建て)でよく染まる木綿や麻は、うまく染まりません。「普通の藍染め」も「生葉染め」も、どちらも青色色素インディゴを作り出しますが、そこにいたる反応経路がまったく違います。
生葉染めの場合は、極性を持ったインディゴの前駆物質を利用するため、同じく極性を持つ絹やウールなどがよく染まるのです。もちろん私は染色家ではありませんが、藍に関わっていると、いつの間にか色々なスキルが身に付いてしまい、染色にも詳しくなってしまうのです(笑)!
しかし、肝心の藍は収穫適期を過ぎて、少し開花が始まっていました。藍は開花すると色素含量が低下するといわれているため、うまく染まるかどうか不安でした。。
そこで、当日は、開花していない茎の先端部分を中心に収穫したものを使いました。これは先端部分ほど色素含有率が高いので、少しでも良質の葉を集めようという工夫です。
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左 :収穫を終えた畑は草ボーボー。良質の先端付近の葉を集めました
右 :染色の前に私から簡単なレクチャー。みなさん熱心に聞いていただきました
さて、まず藍に関する情報提供+染色に関する簡単な説明を行い、いざ染色! ワイワイとにぎやかに作業は進みました。
みなさん「普通の藍染め」は経験されていましたが、「生葉染め」は初体験。美しく染め上がった布に歓声を上げておられました。うーん、女性グループならではの光景。男性相手だったら染色体験イベントはここまでウケないでしょうね・・・。
左 :葉と茎を分けます。そのあとミキサーに入れ、水を加えて細かく砕きます
右 :洗濯ネットなどで液を濾して、その中に絹のスカーフを付けて10分程度ゆっくり動かします。ちなみに生葉染めは普通の藍染めとは染色の反応経路が違います。こちらをご参照下さい。
左 :きれいに水洗いし、乾燥させます。水洗い中に葉の緑味が抜け、鮮やかな青が現れます
右 :この発色!普通の藍染めでは出ない、生葉染めならではの美しい青です。堅牢度も抜群のエコ染色完成!
みなさん気に入ってくれたようで、「来年もやりましょう!」と盛り上がっていました。
みなさんも「藍の生葉染め」いかがですか?簡単ですよ。
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2010.08. 6
以前ご紹介した「海部の藍(あまべのあい)」。その初めての収穫作業が7月末に行われました。
降雨による定植時期の遅れや、除草作業の遅れ、追肥・土寄せ作業の遅れなど、さまざまな困難を経て、ようやく収穫時期を迎えました。
通常は、畝間の地面が見えなくなるほど生い茂った状態で収穫するのですが、残念ながら、今年はそこまで到達できず、花芽が出てしまいました。藍は花芽を付けると色素含有量が減少すると言われています。品質低下を避けるため、やむを得ず収穫となりました。
左 :7月末の状態。5月末に移植した藍が結構大きくなりました。本当はもうちょっと大きくなって欲しかったのですが・・・
右 :移植が遅かったせいもあって、花が咲き始めてしまいました。収穫しなければなりません
ビーンハーベスターを改良した収穫機出動! 多少調整に手間取りましたが、なんとか収穫できました。
収穫した藍は、茎と葉に分けなければなりません。通常はカッターで裁断して、大型扇風機を使って選別しますが、今回は収穫量がそれほど多くなかったので、農家に保管されていたイネの脱穀機(なんと人力!)を使いました。藍の束を機械にかけると藍独特の甘い香りが辺りに漂い、なんとも感慨深かったです。できた葉藍も、茎が全く混入せず、上質でした。
左 :今回は少量だったため、イネの脱穀機をつかって葉と茎を分けました
右 :見事に葉だけを回収することができました。この後、天日乾燥されます
来年は定植時期をもっと早めたり、開花期が遅く収穫しやすい草型(半立性)の品種に切り替えるなどして、安定的に栽培できるように改良する予定です。
この地での藍栽培は始まったばかり。今後、地域に根ざした作物となるように、さまざまな支援をして行かねばなりません。がんばります。
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2010.06.28
今回はちょっと変わった稲作についてです。その名も鉄コーティング直まき! 「みんなの農業広場>注目の農業技術」でも詳しく紹介されている技術です。
徳島県では全然普及していない技術ですが、今回わが管内にチャレンジする農業者がいらしたことから、支援センターの出番となりました。
コーティング作業には機械が必要なので、農業研究所からレンタル。また、高度支援センターの作物担当職員の協力も得て作業しました。
この技術は、ずいぶん昔に、近畿中国四国農業研究センターで開発されたものです。そのころ研究員だった私は、担当の研究員さんから、直接説明してもらいました。
そのときに見せてもらった、磁石にくっつくイネ籾のインパクトは大変強烈で、今でもよく覚えています。私は後にこの技術にヒントを得て、アマモ場再生技術を開発することになったのです。(興味のある方は→こちらをご覧下さい。水産関係のHPなので私の名前は出てきませんが、一応、発案者なんですよ)
左 :コーティング作業中。作業者は高度支援センター小牧主任班長
右 :コーティング直後の籾
さて直まきですが、播種の4日ほど前にコーティングしたものを使いました。品種は「あきさかり」。
播種作業はあっという間におしまい! 農家の方も「これは楽じゃ~」と感心されたようす。
水加減の関係で、多少の生えムラが出ましたが、順調に成育中です。この省力栽培法、どんどん広まって欲しいものです。