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徳島県
吉原 均

沈殿藍、ご存じですか?

2011.07.19

 ついに先日、大きく育った藍の収穫が始まりました! 
 右 :大きく育った藍。待ちに待った収穫適期です!

 一般的な乾燥葉藍調整のようすは次回紹介するとして、今回は蓼(たで)藍では比較的珍しい、沈殿藍(ちんでんあい)制作についてのリポートです。


 沈殿藍とは、藍の葉に含まれている色素を水に溶かし出して凝集したもの。泥状のものは泥藍(どろあい)と呼ばれることもあります。染色に用いる場合は、沈殿藍を溶かしたアルカリ溶液にさまざまな養分を加えて発酵させ、染色液を作ります。


 徳島県では、乾燥葉を発酵させて堆肥状にした「すくも」を染料として生産するのが主流ですが、実は沈殿藍の方が藍の利用法としてはメジャーで、世界的に広く行われています。


 前回で県南のグループは「すくも」のための乾燥葉藍作りだけではなく、「沈殿藍」生産にもチャレンジするとお伝えしましたが、今回、少量ですが試作することに成功しました。
 一般に行われている沈殿法を多少アレンジした方法で作ったのですが、非常に高品質な沈殿藍が採れました!
 今後は徐々にスケールアップして、商品化に繋げる予定です!


  
左 :刈り取ったばかりの藍の葉を水槽に漬け込みます。この時点ではフレッシュな香り
右 :3日後、水はなんと蛍光グリーンぽい色に変化します。臭いは・・・まるでドブ! 化学的には水溶性のインジカン、もしくはインドキシルが溶け出している状態です。目指す色素「インディゴ」は、インドキシル2分子が酸化的結合することによって生成します


  
左 :ドブ臭のする液体を濾過して、激しく空気を送り込みながら消石灰を加えていきます。この作業によって、インドキシルはインディゴに変化します
右 :少しずつ液がブルーに変化、感動的な瞬間です! 不思議なことに、ドブ臭もなくなり、良い香り? がします。例えるなら・・・藍の香り?(笑)


  
左 :しばらく静置しておくと、色素が底に溜まります。そっと上澄みを流してゆくと、濃紺の液体が残ります
右 :残った液体を濾過すると、絵の具のように滑らかな沈殿藍が現れます。苦労が報われる瞬間です。この沈殿藍は乾燥しても白っぽくならない非常に高品質なものでした。目指すは大量生産!

吉原 均

徳島県美波農業支援センターの吉原均です。野菜・作物担当で「きゅうり」、「いちご」、「水稲」、「藍」を担当しています。

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