徳島県
吉原 均
吉原 均
徳島県美波農業支援センターの吉原均です。野菜・作物担当で「きゅうり」、「いちご」、「水稲」、「藍」を担当しています。
2012.01.13
みなさん「干し野菜」をご存じですか?
干し野菜とは野菜やきのこを2、3時間~2日ほど天日で干したもの、です。
先日、当管内にて生活改善グループを中心に、干し野菜講習会が開催されました。
講師は東京で料理道具店を営む「つきじ常陸屋」の廣田有希先生。小柄で笑顔のチャーミングな方でした。干し野菜にすると素材の味やうまみが濃くなったり、歯ごたえが良くなったり、調理しやすくなったりして、普通の食べ方では体験できない魅力いっぱいのテクニックだそうです。
当日は調理実習や試食会も開かれました。実際に干しトマトや干しきゅうり、干しブロッコリーの茎などをいただきましたが、どれもビックリのおいしさでした。「干し野菜は太陽を食べるということ」と話す廣田先生は、とってもうれしそうでした!
左 :満員となった講演会場。珍しい干し野菜料理が紹介され、みなさん興味しんしん
左 :干し野菜料理講習会。干しブロッコリーの天ぷらや干しきゅうりのちらし寿司など、アイディアいっぱい!
右 :干し野菜の数々。カラカラではなく、中はしっとりです
2011.11. 4
先日、徳島県内外の企業の最新技術やユニークな製品を一堂に集めた「徳島ビジネスチャレンジメッセ2011」が開催されました。
約200企業・団体が地域の農産物加工食品などの取り組みをPRする中、以前からこのブログで紹介している「あまべ藍」も出展! ブースは多くの人でにぎわいました。
また、同時開催された「農商工連携・6次産業化セミナー」の中で、「あまべ藍」の取り組みを栽培農家の方自らが発表されました。
藍畑など全くなかった地域から、数年でこのような情報発信をするまでになるとは・・・「あまべ藍」に携わるみなさんの熱意には頭が下がります。沈殿藍生産だけでなく、他にもまだまだアイディアがあるそうなので、今後の「あまべ藍」に期待大、です!
「あまべ藍」の取り組みはYou Tubeでも見られます。美しい映像がいっぱいです。
左 :あまべ藍のブース。床には沈殿藍を塗布したフローリング。テーブルにはさまざまな試作品が展示されていました
右 :若き広告塔Y氏(写真左)と。Y氏は染色家、サーファーでもあります
左 :サンプルを手に取るお客さん達と、Y氏特製の沈殿藍で着色したサーフボード(非売品)。良い色してました!
右 :成果発表会。みなさんの藍にかける熱意が伝わった、良い発表でした!
2011.10. 4
新しい肥料や農薬の有効性を検討するために現地試験を行って、生育・収量データ等をまとめるという業務があります。
先日、水稲肥料関係の収量データを取るために、朝から農業研究所に出張して、脱穀→風選→籾重測定→籾すり→玄米重測定→水分測定・千粒重測定・品質判定・食味計測 という作業を行いました。
私はこの手の作業を以前よくやっていたので、スムーズに作業は進み・・・ませんでしたァ!
結局、機械の調整やら何やらで手間取って、全然予定通りには出来ませんでしたが、それでも何とか1日でやり遂げました(3人がかりでした)。以下、ドタバタを写真でお楽しみ下さい(?)
左 :小型の脱穀機にかけます。細かい埃が出るし、肌がかゆくなるので重装備しています
右 :どんどん脱穀してゆきます。残ったワラも重さを量ります
左 :脱穀した籾は、風力でクズ籾と精籾に分けます。結構時間がかかります
右 :クズ籾、精籾それぞれ重さを計測します
左 :あれ?肌ズレ(玄米の肌が部分的に荒れる)がひどい!機械の調整が甘かったか~
右 :研究所の方が微調整。普通ならサラッと済むところが、ここに来て痛恨のタイムロスでした!
左 :ズラッと並んだ各種計測機器。米の粒数をカウントしたり、品質を判定したりできます。ここでも「使い方忘れた・・・」とか言ってタイムロス。人の記憶とは曖昧なものですね?
右 :夜までかかって何とか最後の項目まで測定することができました。綺麗にパック詰めして冷蔵庫に保管します。そのうち試食できるかな?
2011.07.19
ついに先日、大きく育った藍の収穫が始まりました!
右 :大きく育った藍。待ちに待った収穫適期です!
一般的な乾燥葉藍調整のようすは次回紹介するとして、今回は蓼(たで)藍では比較的珍しい、沈殿藍(ちんでんあい)制作についてのリポートです。
沈殿藍とは、藍の葉に含まれている色素を水に溶かし出して凝集したもの。泥状のものは泥藍(どろあい)と呼ばれることもあります。染色に用いる場合は、沈殿藍を溶かしたアルカリ溶液にさまざまな養分を加えて発酵させ、染色液を作ります。
徳島県では、乾燥葉を発酵させて堆肥状にした「すくも」を染料として生産するのが主流ですが、実は沈殿藍の方が藍の利用法としてはメジャーで、世界的に広く行われています。
前回で県南のグループは「すくも」のための乾燥葉藍作りだけではなく、「沈殿藍」生産にもチャレンジするとお伝えしましたが、今回、少量ですが試作することに成功しました。
一般に行われている沈殿法を多少アレンジした方法で作ったのですが、非常に高品質な沈殿藍が採れました!
今後は徐々にスケールアップして、商品化に繋げる予定です!
左 :刈り取ったばかりの藍の葉を水槽に漬け込みます。この時点ではフレッシュな香り
右 :3日後、水はなんと蛍光グリーンぽい色に変化します。臭いは・・・まるでドブ! 化学的には水溶性のインジカン、もしくはインドキシルが溶け出している状態です。目指す色素「インディゴ」は、インドキシル2分子が酸化的結合することによって生成します
左 :ドブ臭のする液体を濾過して、激しく空気を送り込みながら消石灰を加えていきます。この作業によって、インドキシルはインディゴに変化します
右 :少しずつ液がブルーに変化、感動的な瞬間です! 不思議なことに、ドブ臭もなくなり、良い香り? がします。例えるなら・・・藍の香り?(笑)
左 :しばらく静置しておくと、色素が底に溜まります。そっと上澄みを流してゆくと、濃紺の液体が残ります
右 :残った液体を濾過すると、絵の具のように滑らかな沈殿藍が現れます。苦労が報われる瞬間です。この沈殿藍は乾燥しても白っぽくならない非常に高品質なものでした。目指すは大量生産!
2011.05.13
今年も管内で藍の栽培が始まりました!
昨年は苗質不良、定植の遅れ等の要因で不調に終わりましたが、今年は土づくり・育苗・定植と、ばっちり順調に作業が進んでいます。
左 :4月1日、播種作業のようす。今回は手播きでした。1穴に3,4粒づつ、トレイ200枚ほど播種
右 :播種10日後。きれいに発芽しました! お刺身のツマにそっくり。それもそのはず、同じタデ科植物です。こちらは全然辛くありません
新たな藍産地を県南に作ろうと努力されているこのグループでは、今年、通常の乾燥葉藍だけでなく、生葉から青色色素を取り出す「沈殿藍」生産にチャレンジする予定だそうです。
私も少量なら作ったことがあるのですが、商用生産は初めて。うまくアドバイス出来るようにがんばります。
梅雨明けには収穫予定の藍。新たな取り組み満載の1年になるはず。逐次レポートしていきたいと思います。お楽しみに!
左 :4月27日、定植直前の苗。小さくても、葉を指でこねると真っ青に染まります!
右 :定植10日後、除草のため管理機を走らせます。これから収穫まではこの作業を何回も繰り返します。藍作は雑草との戦いなのです