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長崎県
尾崎哲郎

いちごの花芽検鏡について

2008.10.16

イチゴの花芽検鏡(第1次腋果房:2番果)による栽培管理指導


 20年産のイチゴの定植が9月5日から始まり、15日~20日をピークとして無事終了しました。
 今年は植え付けてから定期的に降雨があり、活着(根づくこと)具合は良好で、初期生育は順調に推移しています。

実体顕微鏡によるイチゴ花芽検鏡。花芽は大変小さく、針の太さが大きく見えます。奥はJA壱岐市のイチゴ担当者


 10月6日と10日にイチゴの検鏡を実施し、1番果および2番果のすすみ具合および、栽培管理指導を行いました。

 通常、10~11月に花が咲き、11月末から1月上旬(クリスマス時期がピーク)に皆さんが食べるイチゴが1番果、これ以降に店頭に並ぶイチゴは2番果、3番果と続いていきます。だいたい、九州の産地は6月中旬頃までイチゴを出荷し、恐らく5番果、6番果まで出ていると思います。
写真 右:実体顕微鏡によるイチゴ花芽検鏡。花芽は大変小さく、針の太さが大きく見えます。奥はJA壱岐市のイチゴ担当者。


 イチゴの花芽検鏡は実体顕微鏡を使用し、イチゴの苗の葉を一枚ずつ取りながら、やすりで研いだ針で花芽までの葉をめくって剥いでいきます。これで花が出てくる出蕾(しゅつらい)までの葉数(内葉数)と、花芽ができあがっているか(花芽分化具合)を確認することで、定植して良い時期、並びに出蕾、開花、収穫の時期がおおよそ予想できます。

1番果開花始めの圃場(10月10日時点)。マルチ被覆も終了し、これから交配のためにミツバチを導入、ハウスのビニル被覆作業が行われます。


 今回、検鏡した2番果は1番果の腋につくものであり、やや難しい作業です。恐らく全国の野菜技術者として、イチゴの花芽検鏡をマスターすることは大きな1歩であり、最初はかなり苦労すると思います。ある程度経験すれば慣れますが、それまでは失敗しながら習得するしかありません。これだけ科学が発達しているのですから、検鏡をせずに簡単な方法で花芽分化の確認ができる方法はないかと、ずーっと関係者で愚痴をこぼしてきました。
写真 左:1番果開花始めの圃場(10月10日時点)。マルチ被覆も終了し、これから交配のためにミツバチを導入、ハウスのビニル被覆作業が行われます。


 2番果の検鏡結果をもとに、追肥施用量や時期、マルチ被覆などの作業工程等の指導、および1番果から2番果までの収穫にかかる期間(2番果までの内葉数)の予想もできます。農家の所得向上のためには、いかに1番果と2番果の間が開かずに連続して出荷出来るかが、大きな要因となります。


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尾崎哲郎

長崎県壱岐地方局壱岐農業改良普及センターの技術課で野菜を担当しています尾崎哲郎といいます。離島ならではの普及活動や普及指導員としての苦労など紹介できれば幸いです。

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