普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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笠原 均

笠原 均

青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。 プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。 加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。

鳥獣害対策という名目で柿が食べたい(前編)

2025.01. 9

 別に隠している訳ではないですが、私は本業の普及活動だけでは物足りず、自宅のある町内を中心に「地域おこし活動」をやっています。本業だとあんまり無茶できないのですが、地元でやる分には知り合いもいるし、思いっきりやれるのです。


 どこでもそうですが、高齢化が進むことで収穫されない果樹って、確実に増えていきますよね。私が地元で気になっているのは、柿、クルミ、イチジク、栗です。そういえばザクロもありますね。私は普及指導員ですので、鳥獣害対策も重要な業務な訳で、野生動物を肥やす行為には、鋭く目を光らせてます。


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生成AIによる地域の鳥獣害のイメージ


 そこで誰にも収穫されない近所の柿を、今回は私が「採ってあげる」ことにしました。「採ってあげる」などとエラそうに言ってますが、私は柿が大好物で、ポリバケツ一杯でも独り占めしたいくらいです。ですから野生動物に食べられるくらいなら、私が食べたい。


 それでも「お宅の柿、どうせ食べないんだから、私、勝手に食べてもいいですよね?」と言うのは、今後のお付き合いに影響しそうです。さらに柿を収穫すると言っても、柿の木一本、丸々収穫するはかなりの労働力が必要です。さらに青森県で生えているのは渋柿で、渋を抜くには焼酎がいるし、焼酎につけた柿を保存する大きなビニール袋も入ります。とにかく金がかかるのです。


 そこで私は考えました。
「そうだ!食育イベントにしてしまおう!」


 ということで、柿の木の持ち主の了解を得て、近所のお友達らに「参加費一人300円! 柿取り放題! 渋抜き指導します! 子供の食育体験に!」とLINEしました。すると、なかなか好意的な反応なので、続けざまに「11月3日(日)9時、我が家の玄関前に集合!」とやると、当日は近所の人や子供が結構集まりました。すでに皆さんやる気で、軍手、脚立、かご、高枝ばさみも用意しているじゃないですか!しかも、近所のおじいちゃんに至っては、トラックで来ている・・・。


・・・と、今回はここまで。一気に書くとネタがなくなっちゃうのよ。

三好鍋、ついにランチメニューに

2024.12.11

 令和5年2月に結成されて以来、試行錯誤を続けながらも地域活性化に取り組む三好をあじあう会(青森県五所川原市三好地区)。
 令和5年度に県の事業を使って開発した三好鍋が、ついに日曜日の定期メニューとなって三好地区内の農家レストラン「わらふぁーむ」で提供されることになりました。
 思えば、レシピが完成してから苦節12ヶ月・・・(短いじゃん)。これまでイベントでの不定期販売に留まっていましたが、ついにメニューとして定期的に販売されることになったのですよ。感動です。
 発表の狼煙をあげる12月6日は、青森テレビの人気夕方ワイド番組「わっち」の中継で取り上げられました。

 私が中継点のレストランに着くと、すでに皆さんリハーサル中です。


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すでに青森県は雪の中・・・


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綿密な打合せ中。表情が真面目・・・


 シナリオ上、「店主の明日香さ~ん、三好鍋はできましたかー?」「はーい、あともう少しでーす」というやりとりをしていますが、実はすでに完成しています。

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農家レストラン「わらふぁーむ」の店主、明日香さん。三好をあじあう会のメンバーです。すでに完成した三好鍋を手にしています。


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鍋が届きました。でもリハーサルなので、鍋の中身は入っていません。


 三好鍋の隠し味「三五八(さごはち)」の感想を話す小野寺アナ。その横で、さりげなく「三好をあじあう会」の活動(赤丸)をPRする会のメンバー。気が利きます。


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最後は、拍手で締めくくり。


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自宅で、録画をチェックする筆者。
・・・という画像だったが、家族から苦情が出たので仮想空間で録画をチェックする筆者。


青森県南部町の「あおもり鍋自慢」に出店!

2024.10.25

 聞くところによると、かつてB-1グランプリを考案し、全国にご当地グルメブームを巻き起こした八戸せんべい汁研究所(通称、「汁゛研」じるけん)の初代所長は、せんべい汁を通じて地域を売り込みに行ったそうである。

 そう!鍋料理を販売するだけなら、祭りの屋台と変わらない。
 五所川原市三好地区にある地域運営組織「三好をあじあう会」は、鍋を通じて地域活動を売り込みに来たのである。


 事の始まりは、一年前・・・。
「三好地区を売り込むために、三好ならではのモノを作ろう!」と、三好をあじあう会は、料理研究家、栗原心平氏の協力を得て、三好ならではの「三好なべ」を完成したのである。


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これが三好なべ(注:豚肉は三好産ではない)


 イメージとしては、にんにくの香りが食欲をそそる「味噌ラーメン風の豚汁」という感じである(なんとなく伝わりました?)。


 さて、鍋自慢当日は絶好の「ちょっと寒い青空」となり、まさに鍋日和であった。
 開会セレモニーが終わった時点で、いきなりの長蛇の列である。地域活動を売り込みに行ったはずだが、お客さんとのやりとりが忙しくて、それどころではない。


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左 :オープニングセレモニーの様子 / 右 :すでに長蛇の列
   

 それでも、最初の行列が過ぎると、ちょっと一服。チラシを持って、会の活動の売り込みである。


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チラシで、会の活動をPR


 青森県は、南北に連なる奥羽山脈により東西で真っ二つに別れ、全く異なる文化が発達している。そのお陰で、東側にある南部町と、西側にある津軽平野の五所川原市とは、文化人類学的に「言葉による意思の疎通さえ難しい」と言われる位の違いがある・・・(嘘です。さすがに言葉は通じる)。


 ただ、完全なアウェイである南部町では、「五所川原から来ましたー」というと、軽い驚きをもって「なぬぅ?」と人々は振り返り、鍋の入ったお椀だけでなく、チラシももらってくれます。
 そしてチラシに目を通すと「うちの方にも、こういう活動があればいいんだけどねー」と、笑顔で率直な感想を返してくれます。
 ・・・良かった。どうやら、津軽から南部藩の「鍋の牙城」を崩しに来たとは思っていないらしい。


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左 :隠し味の「三五八(さごはち)」。隠すどころか売っている。400円。
右 :鍋だけでなく、三好産のネギや味噌も売る


 鍋の評判は上々で、「この会場で一番おいしかったよ」と、さりげなく私達に耳打ちしてくれるお客さんの顔を見ると、どうやら社交辞令ではなさそうである。しかも結構な数の人が同じようなことを言ってくれる。
 最終的に、わずか4時間半で356食が売れました。売上は16万円!
 三好をあじあう会の活動を紹介するチラシも数え切れないほど配ったので、少しだけ三好をPRできたと思います。
 にんにく味噌風味の鍋を見る度、五所川原市三好地区にある「三好をあじあう会」の活動を思い出してくれるといいなぁと思います。

地域運営組織は、環境保護活動に取り組んだ

2024.09. 6

 青森県五所川原市で活動する地域運営組織「三好をあじあう会」は、「地域資源の発掘・活用」の一環として、環境保護活動に取り組んだ。水田の畦に穴を開け、稲の根を食い荒らす、あのにっくきアメリカザリガニの駆除に取り組んだのである。


1 イベント化
 地域運営組織が継続的に活動していくためには、運営資金が必要である。そのため、これまでも様々な企画をしている。その中で今回は、「三好ザリガニ釣り大会」と銘打って、イベント化したのである。
 イベント開催に先立ち、三好をあじあう会は、アメリカザリガニが日本にやってきた経緯、環境に与える影響、捕獲後の取扱いを勉強し、それからSNSで有料広告を打ったのである。


2 SNS広告の対象は、「小学生の子供を持つ親」!
 三好をあじあう会がSNSで有料広告を打ったのは、今回が初めてである。
 当初の想定では親子10人程度で、こぢんまり釣りを楽しむつもりであったが、広告公開直後には40人の参加者を集め、慌てて募集制限をかけて何とか50人で止めることができた。


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アメリカザリガニ絶滅の危機!?


3 準備
 昨年、住民向けに行ったICT研修会が多少でも効果があったのか、スマホ嫌いであったはずの三好をあじあう会メンバーの連絡方法は、ほぼグループLINEに移行した。私もグループに入っているので、職場に居ながらにして、住民が準備をしている様子がよくわかる。
 LINE画面をスクロールしていると、水路を見回る会長らしき姿が・・・。
 「もしも一匹も釣れなかったら可哀想だ」と、会長自ら前日にザリガニを捕獲しにいっていたらしい。頭が下がります。


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ザリガニを探す会長らしき人物(撮影者不明)


4 当日
 前日の土砂降りが嘘のように、当日の朝は日差しは強いものの、さわやかな晴天である。
 最初に「アメリカザリガニは、稲に悪さをする悪い奴なんだ」「釣っても、持って帰れませんぞ。」という説明をした後、さっそくスタート。


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生け簀に用意する農業青年


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左 :釣り竿づくりから指導する三好をあじあう会会員(右)
右 :釣れそうで、なかなか釣れないのである・・・


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釣れると撮影会が各所で始まる・・・


5 結局のところ・・・
 「とっても楽しかった!」というのが、総じて聞かれた子供達の声であった。
 ザリガニ釣りは外来生物駆除になるだけでなく、「子供達に自然体験を・・・」と言っている大人達も大真面目に取り組める自然体験であったようです。
地域資源の活用として、ザリガニ釣りはなかなか良い企画であったと思います。


※肖像権を侵害しないよう、写真は意図的にぼかしています。
※アメリカザリガニは、特定外来生物です。適切な管理をしましょう!

意外と使えるかも知れないテクニック

2024.08. 9

 前回のブログに書いたとおり、モデル集落の運営指導は県が委託した中間支援組織に任せて、普及指導員は「一歩引いて」モデル集落の活動を見守っています(私的には、ちょっと寂しい)。

 それでもモデル集落「三好をあじあう会」のグループLINEを見ると、せっせと廃材等を利用して、住民らが農産物等の販売拠点を作っているのがわかります。
 なんと畳を剥がして、基礎から直しているのですね。スゴイ。


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販売拠点の床を直す様子


 普及活動をしている私が、「中間支援組織が期待するような活動をしない」「地域住民が少しも動かない」等々の悩みを抱えるのではなく、中間支援組織の協力のもと、モデル集落住民が自ら地域づくりを進めている・・・、そう考えれば、まさに普及が狙ったように動いているのかも知れません。
 ・・・私の気持ちが、少しだけ、さっぱりしました。


 さて、話は変わりますが、先日、私が職場の同僚に「思いがけないところから、協力者を連れてくる方法」という話題を披露したところ、意外とウケました。
 せっかくですので、この場でも紹介したいと思います。


<個人経営のお店に商機あり>
 ただならぬ「地域おこし力」を持った中間支援組織、NPOジャズネットワークを見つけた時もインターネットだけで探した訳ではありません。
 私の知っている限りの人物に隈無く「○○のような人を探しています! 紹介してもらえませんか!?」と、連絡をとっております。
 もちろん単にメールや電話だけでは色好い返事は期待できないので、週末には個人経営のレストランや、喫茶店も転々と回っておりました。というのは、個人経営のレストラン、喫茶店では、愚痴も含めて常連客がマスターに色んな情報を伝えていることが多く、知らぬ間にお店は情報のたまり場になっているのです。

 今回のNPOジャズネットワークを紹介してくれたのは、弘前市にあるレストランのマスターで、マスターを介して連絡を取ったので、相手に警戒されることもなく容易に会うことができました。


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 今回に限らず、鮮度の良い情報を得るために、私は普段から彼方此方(あちこち)のお店に顔を出しております。特に個人経営のお店のマスターと懇意になることは、100T(テラバイト)のWebサーバーを手に入れることに匹敵します。
 だから、週末に私が喫茶店で何杯もコーヒーを飲んでいるのは、暇だからという訳ではありません。そんなお店ではNPOだけでなく、切り絵職人、作家、大学の先生、売れないミュージシャン等々、色々な人に出会えるのです。


 今回は、いつもとはちょっと違った感じに書いてみましたが、多少でもお役に立てたでしょうか。

 今回のブログの評判が良かったら、他にも使えそうなテクニックを紹介したいと思います。全国農業改良普及支援協会を通して、御連絡くださいね。ネタはたくさんありますよ。m(_"_)m

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