大分県
塩崎洋一
塩崎洋一
昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興で普及活動の第二幕、北部振興局で普及活動第三幕を終えた矢先、北部からさらなる要請があって第4幕が上がった。なかなか自分のやりたいことに集中できない、でも断れないジレンマを抱えながら、それでも全力で普及員をやる気持ちです。
2023.02.27
昭和の風景は、ここにもありました。
後継者として亡き親父さんの牛舎を引き継ぎ、ご夫婦で頑張っています。
肉用牛で親牛が50頭規模。ですが、やっぱり便利が悪い、作業性が悪いのです。
担当のK普及員が「塩崎さん、管内であの農家を飛び立たせなければ、誰が生き残るんですか!」と気合いを込めて訴えてきました。
「なら、とにかく行くぞ」と、ある日、現場に行きました。
屋根に降った雨が、崖から全部牛舎に流れ込むとのこと。「和牛が水牛になるんです」との話に、ため息でした。
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古い雨樋は崩れ去り、この屋根すべての雨水が、崖との隙間から全部牛舎の中へ流入。和牛が水牛になるとは、このことでした。築何十年のスレート屋根です。壊れやすいし、しかも、積もった落ち葉が樋を詰まらせる
経営移転を計画中ですが、まだ1年はここで牛を飼わねばならない。
「カネをかけずに、やるかえ」ということで、管内の酪農家から空の消毒薬容器を頂いて、特大の雨樋を作りました。
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この屋根の一番奥は、4mくらい先端が斜めになっていて、樋を真っ直ぐ通せなかったので、そこだけ別付けして、手前の雨樋の下をパイプで排水です
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消毒用のポリタンクをカットして、繋ぎながら樋にしましたが、水勾配の関係で、下がった手前は放物線を描いた雨水が樋の中に落ちない。そこで、在庫の波板を差し込みました。水の流れが3つになる、○○スイッチみたいな工夫でした
2022.12.26
この日は、普及員Oさんの繁殖関係の巡回に同行しました。
初めて行くところでしたが、正直、言葉に詰まりました。「ここで飼っているのか・・・・」と。
ご本人は勤めもあるので、お父さんが飼っていたのを引き継ぎ、そのままやっているとのこと。まもなく勤めは引退するので、立て直す計画はあるそうですが、それにしても・・・と思った次第。
広さがあって、牛が雨に濡れなければ、たしかに、そうストレスにはなりません。が、作業するヒトが大変ではないかと、つくづく思うのです。
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右端がO普及員さん。今年4月に異動で来たのですが、彼女も驚いていた様子
売る子牛の相場からすれば、施設にお金がかかっていなければ、それはそれで良いと思いますが、がんばるなあと、重ね重ね思った次第です。
こちらに限らず、親の代から引き継いでがんばっているところは、そのままの環境で続けている方が多い。背景には、勤めに出ているとか、他の部門が経営の柱になっているとか、牛さんを主体にして生計を立てていくわけではない、という理由が見え隠れします。
管内を巡回しながら、ある時から思い始めたのは、「昭和の風景が多い」ということです(誤解を恐れずに言うと「昔のままの飼い方」が多い)。こうした環境が原因だと断定はしません。ですが、管内の子牛価格が全体的に安いのは、生まれた後の飼養管理が大きな要因であることは間違いないと思うのです。そうすると、飼養管理作業のリスクは・・・と繋がるのです。
2022.12.23
昭和63年、新採用されて配属された普及現場は、県北部でした。当時は、ご想像のとおり、複合経営の中での少頭数を飼養する農家がほとんどでした。
また、そうした地域の家屋は昔ながらの間取りで、母屋と牛舎が壁一枚でつながっていたりするところも多かったです。当然ながら、別棟でも、そうそうリッチな牛舎はありませんでした。餌箱に水槽がある程度。スタンチョン(※)なんか皆無でした。
その後、平成の時代を経て規模拡大が進み、県内でも、地域によっては飼養農家数が減少しても牛の頭数は増加した、というところもあります。
こうした流れの中で、補助事業を活用して牛舎を新築したり増築する農家がある一方、お金をかけずに牛舎を作る方もいます。
この日は、勤めを引退された方が牛を飼い始めたところに伺いました。
頭数はさほど多くないですが、飼養環境は管内でも有数な良いところと言えます。
とにかく広さにゆとりがある。何よりです。だけど、牛舎そのものにはあまりお金をかけていない、というところです。
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曇り空で薄暗く感じますが「こんなところで退職後の牛飼い、俺もやりたい」と思います
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運動場も広くあって、問題なし。ここに来るまでの道が少し狭いですが・・・・贅沢な場所です
(※) スタンチョンとは「首かせ」という意味。牛さんが餌を食べる時に頭を出しますが、そのときに鉄枠がはさまって、牛さんをその場所に留めておくことができる。そして人工授精をしたり治療ができる。
(参考)畜産現場のIT化
2022.11.28
2022.11.24
いろいろと立て込んでいて久しぶりの投稿です。
立て込んでしまったのは、アナログな普及活動をやっているせいか。
この日、酪農巡回の中、目にした光景は、最初は何やっているのか解からなかった、こいつの存在。
何か道具を置いてるのかと思いきや、勝手に動いていやがった。
よく見ると、牛さんが餌を食べていて、段々と押しやり、口が届かなくなったのをまた牛さんの方へ寄せている。
「感動した!」
20年ほど前に搾乳ロボットの話を聞いた時には、いろいろな状況から勧める気にならなかったが、最近の搾乳ロボットはセンサーの目が良くなって、「これなら導入した方が良い」と思える事例を知った。
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適当に仕事したら勝手に どっかに行きやがる。でもかわいい、と思うのは、私だけか
この日、実際に見かけた物は、「最近は農業もIT化の波に乗り始めた、場面によっては乗っている」という認識の自分と、子供の頃から牛舎での作業は「よだきい」(※)という心の奥底にある心理があいまって、見た瞬間に「こりゃいいなあ」だった。
※ 大分弁のトップクラス、きつい、だるい、なんとなくやる気しない、けど仕方なくやる、というような意味